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コラム
2016.04.18
被災者・被災地支援

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大規模な災害により住んでいる家に被害が生じてしまった場合に、一世帯あたり、最大300万円の支援を国から受けられる制度があります。

 

貸付けではなく、受け取れる、という制度です。
使い道は自由です。この件について、書かせていただきます。

 

まずは、4月14日21時26分と16日1時25分に発生した地震や、その前後の一連の地震等により亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

 

私は、東日本大震災が発生したとき、被災地になった岩手県宮古市にいました。その1年前から市内の公設事務所の所長をしていました。
震災後、全国のみなさまに数多くの支援をいただき、被災者支援活動にも奔走しました。
そのときのご恩を、そしてそこで得たノウハウを活用し、今回の熊本地震等で被災された方のためにも、全力で取り組んでいきたいと思います。

 

さて、このコラムは、このたび開業した沖縄にある南山法律事務所のコラムです。
当面は、熊本地震等の関係の投稿が増えると思いますが、今後は身近な法律問題から憲法問題等まで、幅広いことを書いていこうと思っています。
初コラムなので、改行など読みにくい部分があると思いますが、どうかご容赦下さい。

 

すっかり前置きが長くなってしまいましたが、冒頭に書いた被災者生活再建支援金のことを説明させていただきます。
この制度は、東日本大震災のとき、避難所被災者の方に紹介して、もっとも好評だった制度です。

 

「国が100万円くれる?んなばかな」と驚かれたりもしました。
私は「いやいや、本当にもらえるんです。いますぐは無理でも、必ず支払われるから、これを生活再建の一歩目のお金にしましょう。」と何度も説明しました。

 

いま被災者の方々の中には、地震で全てがなくなってしまった、と絶望されている方がいらっしゃると思います。そういうお気持ちになるのは当然です。
でも、仮に全部がなくなってしまっても、生活再建の一歩目を踏むためのお金はこの制度で受け取れます。仮設住宅もできるでしょう。
いますぐではないけれど、一筋の光として見ていただければ有難いです。

 

概要は、こちらの内閣府のホームページが詳しいです。
被災者生活再建支援制度の概要HP

 

この制度は、阪神淡路大震災の被害を受け、その後の多くの方により設立され,その後改正が繰替えされてきた被災者生活再建支援法、という法律に基づく制度です。

「居宅」、つまり住んでいた部屋に生じた被害に応じて、一定の金銭が国から支給されます。
住宅被害に応じて支給される「基礎支援金」と、住宅再建方法に応じて支給される「加算支援金」があり、基礎支援金は準備が整い次第、つまり来月か遅くとも再来月には、口座に着金する形になることが見込まれます。

 

以下、少し細かくなりますが説明します。

 

1 制度の対象となる地域

被災者生活再建支援法は、全ての災害で全ての地域に適用される制度、ではありません。残念です。
しかし、18日午前の発表(内閣府防災)で熊本県で全壊400棟と発表されましたので、熊本県内で被災した居宅については、全てこの制度が適用されると見て間違いありません。
大分県やその他の県については、正直報道レベルでは被害の全体像が見えてきません。大分県内の全壊住宅が100世帯を超えれば大分県全体が対象に、超えなかったとしても、全壊住宅が5世帯以上に達した市町村等で適用になります。詳しくは、お手数ですが上記内閣府のホームページの1の部分をご覧下さい。

 

 

2 利用方法

次に、この制度の利用方法についてご説明します。
この制度を利用するには、「り災証明書」の発行を受けることが通常必要になります。
その建物のある市町村役場で発行を受けることができます。
※ただし、まだ市町村役場も混乱している真っ最中だと思います。準備ができていないと思います。いますぐ行ってもいますぐ支払われるわけではないので、自治体の広報や地元新聞などで、「り災証明の発行が始まった」のを確認してから足を運ばれることをお勧めします。
なお、この「り災証明」というのは、とても大切な書面になります。被災したときに最初に受け取る書類、とりあえずもらっておいた方がよい書類だ、と思っていただいて間違いありません。ぜひ、役場の混乱状況や混雑状況を見ながら、それぞれに受け取るようにして下さい。
※り災証明を受け取るときの注意事項についても、またコラムに書く予定です。

 

 

3 対象

この制度が利用できるのは、居宅(住んでいた家)に大規模半壊以上の被害が生じた「世帯」です。
本来は、半壊や一部損壊の方にも一定の支援がされるべきですが、まだ国はそこまでの制度をつくっていません。残念です。個人的には、今回の熊本地震等を受けて法改正がなされ、せめて半壊の方にも支援金が支給されるようになってほしいと思っています。

そして、支援金を受け取れるのは、持家だった人だけではありません。
部屋を借りて、つまり賃貸で住んでいた方も対象です(大家さんではなく、借りていた世帯が対象です)。

受け取れるお金は、被害に応じて支払われる基礎支援金と、再建方法に応じて支払われる加算支援金の二つがあります。
基礎支援金は恐らく来月か遅くとも再来月に、加算支援金は再建するときなのでだいぶ後、というイメージを持って下さい。
それぞれの金額は、以下のとおりです。
なお、一人暮らしの世帯は、金額が3/4になります。

 

ア 基礎支援金(居宅の被害の程度に応じて受け取れる支援金)

・全壊の場合  100万円
・大規模半壊の場合  50万円
※住宅が半壊等してやむを得ず解体した場合は全壊と同じ扱いです。
※災害により危険な状態が継続し、居住不能な状態が長期間継続した場合も全壊と同じ扱いです。

 

イ 加算支援金(住宅の再建方法に応じて受け取れる支援金)

・住宅を建設 or 購入で再建  200万円
・住宅を修理して再建  100万円
・部屋を借りて再建  50万円(公営住宅以外)

 

 

4 住民票を移していない場合

よく問題になることとして、住民票を移していない場合はどうなのか、ということがあります。
しかし、この制度は「居宅」、つまり住んでいた家かどうかという制度であって、住民票がそこにあったかどうかは支給の条件ではありません。
色々な方法で、そこに住んでいたことを役所に示して納得してもらえれば、支給されます。公共料金の明細などが代表例ですが、うまくいかないときは、どうぞ弁護士にご相談ください。

 

 

5 被災者の希望になる制度

私は、この制度は生活再建の一歩目になる制度であり、被災された方々の希望になる素晴らしい制度だと思っています。
もちろん、金額が最大300万円にとどまることや、半壊以下の方が支援対象にならないこと。また大家さん、つまり賃貸人への支援がないことなど不十分な部分はありますが、それでも、「希望」にはなり得る制度だと思います。
ぜひ、多くの被災者の方に知っていただき、「絶望する必要はない」ということだけでも、お伝えしたいです。
今後も、被災者の方のお役に立つ情報を書いていこうと思います。

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