『災害関連死の備え不足』『北部5市村 改善検討』
【2024年12月12日 沖縄タイムス・22面】
先月11月9日未明、沖縄本島北部を中心に豪雨災害が発生し、それから約1か月が経過しました。
しかし、被害に遭われた方の中には、未だご自宅に帰れず避難所での生活を送っている方々がいます。
慣れない生活、不自由な生活が長期化することで、次に不安視されるのは、災害関連死です。
災害関連死と認定されると、ご遺族には災害弔慰金が支給されるほか、奨学金の対象や様々な支援を受けることができるようになるのですが、残念なことに、沖縄県内では、災害関連死に関する条例について、那覇市以外の市町村には独自の備えがなく、県市町村総合事務組合に丸投げしている状況となっています。
県市町村総合事務組合にその条例があるからいいのではないか?
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、それについて弁護士小口はこうコメントします。
「地域に疎い委員や職員だけで審査をすれば、本当は関連死なのに却下してしまう恐れが高まるというのが過去の震災の教訓。」
実際に、東日本大震災において、認定審査を外部に委託したエリアについて、関連死の認定率が低くなることも起こっています。
今年4月、沖縄県内の災害関連死の認定業務が県市町村総合事務組合に丸投げされていることについて報道があり、それを受けて沖縄県は市町村に対し「支給迅速化の観点からも条例を制定し、審議会の設置を進めてほしい」と要請しているようです。
(以下、今年4月の報道の際の弊所コラム記事です。ご参考までにご覧ください。
「=新聞掲載情報=『災害関連死 備え薄く』『認定業務の認識 規約もなし』沖縄タイムス」
https://www.nanzanlaw.com/column/2602)
悲しいことに、日本各地、そして世界中で、多くの自然災害が発生し、そのたびに目を覆うような辛い報道が流れます。
沖縄県、沖縄県内市町村はこれらの報道をどう見ていたのでしょう。
災害への意識の薄さ、防災の知識不足がうかがわれます。
万が一災害が発生した際に重要なのが、これ以上の被害を出さないこと、災害関連死が発生しないよう万全の対策を施すこと。
ですが、そのために、過去の災害や災害関連死から、その発生経緯や状況を学ぶことこそが、万全な対策への大切なステップの1つだと考えます。
4月のコラムと繰り返しにはなりますが、過去の災害で失った大切な命を決して無駄にすることのないよう、これからの万が一に備えて、将来を創っていくべき、創っていこうと思います。
≪事務局≫