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コラム
2016.08.31
コラム

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福島第一原子力発電所事故から5年半が過ぎようとしています。

 

私は、東日本大震災が発生する1年前から、岩手県宮古市という東北の沿岸に住んでいました。

津波は宮古市の中心部を襲い、その後私は被災者支援活動に奔走するようになりました。

 

その活動の中に、原発事故で避難されている方への支援活動、

具体的には損害賠償に関する支援と、避難生活や避難に関する支援があります。

 

原発事故で避難された片は、適切な法律がなかったため、災害救助法という法律に基づいて避難することになりました。避難生活は原則として最長2年となっているのですが、その後1年、1年、1年と避難先の住宅を無償で提供するという支援が続いてきました。

 

ただし、この1年、1年の延長もすんなり延ばされたわけではなく、

日本弁護士連合会をはじめ、様々な団体が働きかけをしたり、あるいは署名活動などが行われて、何とか1年、1年と延ばされてきました。

 

ところが昨年6月、国と福島県は、上記住宅支援の多くを、来年3月末をもって打ち切ると発表しました。

発表前から、日本弁護士連合会を始め、打ち切りを思いとどまるよう様々な働きかけがされましたが、それらを無視する形で打ち切りがなされました。

 

沖縄県には、原発事故避難者の方が多く避難されています。

福島と距離的に離れており陸続きでないこと、沖縄県が比較的遅い時期まで避難者を受け入れていたこと、沖縄県の支援が手厚かったことなどが理由だと思われます。福島県内からの避難者数は、今年7月時点で436人、西日本で三番目に多くなっています。

さらに沖縄県には、政府が避難指示を出している区域、以外から避難されている方が多く避難されています。恐らく、こういった方も含めた場合の避難者数は、西日本一だと思われます。

 

避難指示区域以外から避難されている方は、東京電力からの賠償の面でも厳しい立場に置かれています。原則として大人最高12万円、子どもや妊婦が最高72万円の賠償しか受けられていません。継続的な賠償はなされておらず、唯一継続的な支援として行われてきたのが、このたび打ち切られる無償住宅支援です。

 

今回、打ち切りの対象になるのは、この避難指示区域以外からの避難者であるため、来年3月末の打ち切り時には、沖縄県でも大きな混乱が生じる恐れがあります。

 

弁護士の使命は基本的人権の擁護と社会正義の実現です。何から何まで私にできるわけではありませんが、私には、東京にいた頃、日本弁護士連合会の中で上記避難者の住宅支援の関係を扱っていたという経験がありましたので、そのノウハウを活かして、

・沖縄弁護士会による会長声明と、その記者会見

・福島避難者のつどい 沖縄じゃんがら会の陳情と、その記者会見

の二つに汗を流させて頂きました。

 

世論の共感を得られたようで、無事大きく報道していただくこともできました。

 

【NHK】

【RBC】

琉球新報
「家賃支援、継続を」福島原発事故 避難者、沖縄県に要請

 

沖縄タイムス
「住宅支援求め陳情」原発事故避難者が県に

※ネット記事なし

 

今後、9月以降の沖縄県議会で、沖縄県としてどのような支援をするかの話し合いがなされていくはずです。その推移を注意深く見守っていきたいと思います。

 

2016.08.17
コラム

7月22日、東村高江県道70号線沿いに建てられていたテントが、沖縄防衛局(国)により撤去されました。

 

撤去に先立って、沖縄防衛局が「7月19日」が経過しても放置されていた場合、所有権が放棄されたとみなす、という趣旨の貼り紙をしていたことと、

7月22日に、村道沿いに建てられた通称「N1裏テント」に同趣旨の貼り紙がされたことから、

今度は「N1裏テント」が強制撤去されるのではないか、という懸念が広がっています。

 

しかし、法律家の目から見ると、「N1裏テント」の強制撤去はあり得ないように思います。

一つ一つ解説したいと思います。

 

 

1 7月22日に行われた撤去に関する国の言い訳

 

既にコラムでも書いたように、7月22日に行われた県道沿いのテント、通称「N1表テント」の撤去は違法です。

確かにあのテントは、道路法所定の許可をとっていなかったようですので「適法に設置されていたテント」ではなかったようですが、だからといって、道路管理者(県)ではない人(沖縄防衛局(国))が、裁判を経ずに撤去できる法律上の権限はありません。

(※道路管理者であっても手続が必要です)

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権限がないことは、あの敷地の管理者が沖縄防衛局(国)であったとしても、変わりはありません。

 

例えば、自分の庭に、誰かが勝手にテントを設置したとしても、勝手にどけられないのが法律です。

「そんなばかな」と思われがちですが、そうなのです。これを「自力救済」の禁止といいます。

東京霞ヶ関の反原発再稼働テントのように、それをどけるには、撤去を求める裁判を提起し、判決を得て、強制執行する必要があります。

 

当初国は、強制撤去したことを正当化するために、防衛省設置法4条19号に基づいて撤去したという言い訳をしました。

しかし、防衛省設置法4条というのは、防衛省の「お仕事リスト」を定めただけの条文なので、流石にこの言い訳は無茶だと気づいたようです。

 

最近は言い訳が変わっていまして、現在は「所有者がいないテント」があって工事の円滑な実施に邪魔だったので撤去して保管しているだけと言い訳しています。

簡単に言うと、「所有者がいないテント」だから、撤去しても誰の権利も侵害しないのだから、裁判とかしてないけれどまあいいじゃないですか、という理屈です。

(ちなみに、「所有者がいないテント」だったはずなのに、その後防衛局は、所有者はこの人だろうと目星を付けて「返したい」と連絡をとっているようです。もう返却までされたかもしれません)

 

連日N1表テントが使用され、その前で7月21日には約1600人が集まる集会が開かれ、7月22日は200人近い市民が身体を張って守ろうとしたのに、「所有者がいないテント」だったというのは、そんなバカなというレベルの話しですが、これが政府の見解。

福島瑞穂議員の質問趣意書に対する政府の答弁書に書かれていたので間違いありません。

 

(福島みずほ議員のブログより)

「テント等の所有者の有無を確認する趣旨で、平成二十八年七月十九日を経過しても撤去されていないテント及びその内部に放置されている物件については所有権が放棄されたものとみなす旨を記載した要請文を掲示し、所有者を名乗る者がいなかったことを確認した上で、当該テント等については所有者がいないものと判断し、同局において、在日米軍の施設及び区域の適切な管理を図るとともに当該工事の事業者として工事の円滑な実施及び進入路における安全を確保する観点から、当該テント等を撤去し、同局名護防衛事務所において保管しているところである。」

 

 

2 N1裏のテントは所有者がいないテントか?

上記1の政府の言い訳を前提に考えると、N1裏テントの強制撤去がされるかどうかは、

所有者がいないテントか、そうでないかがポイントになってきますが、N1裏テントは、誰がどう見ても「所有者がいる」のようです。

 

まず、上記1の福島みずほ議員のブログからの引用にあるように、政府は、要請文を掲示したのに「名乗る者」がいなかったことをもって、「所有者がいないテント」と判断しています。

 

N1裏テントに同趣旨の貼り紙がされたのは、7月22日のことでした。7月22日に、8月5日を経過しても放置されているのであれば「所有権が放棄されたものとみなす」という貼り紙がされました。

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しかし、この貼り紙がされた7月22日よりあと、さらに期限とされた8月5日よりあとも、N1裏テントは使用され続けていますし、毎日集会が開かれています。

 

 

さらに、これに加えて、8月5日以降テントには以下のような貼り紙がされました。

 

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テント所有者が「所有権は放棄していません」と言っている(明示している)のですから、流石に今度は「所有者がいないテント」だと思ったという理由はとおりません。

法律的に考えるとN1裏のテントが強制撤去されることはないはずです。

 

 

 

3 要請文が提示されたより後に設置された新たなテント

さらに、もう一つ気になる点があります。それは、7月22日、要請文が貼られたときの状況と、現在の状況が余りに掛け離れているということです。

簡単に言うと、7月22日当時には存在しなかったテントが多数設置され、多くの動産が置かれています。

 

よって、7月22日の貼り紙に何らかの法律上の意味があったとしても(私はないと思いますが)

その後に置かれた物に、その貼り紙の効果が及ぶはずはない、ということです。

 

まず、7月22日より後、8月4日に私が撮影したテントの写真は次のとおりです。

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そこにあるのは、白い普通のテントです。

 

ところがどっこい、8月5日の夕方には、白いテントの回りに、新たに青い大きなテントが設置されました。

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さらに8月7日に新たにテントが設置されたようでして、

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8月9日には、テントが補強&拡大され200人からの人が座れる座席までできあがりました。

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ちなみに、その後さらに300人が座れるよう奥にテントが設置されています。

 

7月22日に、8月5日が経過されても放置されているものは所有権が放棄されたものとみなす、という貼り紙が貼られたとしても、

その効果が、7月22日の時点では存在しなかったテントや動産や、8月5日時点で存在しなかったテントや動産に及ぶはずはありません。

 

そうすると、この点でも、法律的に考えるとN1裏のテントが強制撤去されることはないはずです。

撤去したいのであれば、裁判の提起が必要です。

 

以上のとおりですので、日本が法治国家であるならば、

N1裏テントが、裁判を経ずに撤去されることはないはずです。

 

 

2016.08.11
お知らせ

 

8月12日~17日まで夏期休業とさせていただきます。

ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

営業再開予定は18日からとなっております。

2016.08.10
お知らせ

 

最も有名なインターネットメディアの一つ、IWJさんが、弁護士小口幸人のインタビューが書き起こして下さいました。
内容は、いま全国的にも話題になっている、国頭郡東村高江のオスプレイパッド移設の件、

その中心テーマの一つである、住民達が設置した「テント」の撤去権限についてです。

 

そこまで長くありませんので、ぜひご一読いただければ幸いです。

沖縄のみなさまにも、そして内地のみなさまにも、読んでいただきその背景に何があるのかを考えるきっかけにして下さい。

 

「東京も沖縄も法律は同じはずなのに」〜高江のN1テントと経産省前「脱原発テント」で政府の矛盾が浮き彫りに——小口幸人弁護士インタビュー 2016.8.5

 

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2016.08.10
過去取扱い事件

離婚事件は、当事務所が数多く扱っている事件です。ご相談も本当に多いです。
このたび、遠隔地に住んでいる方との離婚が、短期間で認められましたので報告させていただきます。

依頼者は沖縄、相手の方のお住まいは北海道でした。
裁判手続を利用する場合、まず離婚調停を行うのが原則になっています。しかし、この離婚調停は相手の地域の裁判所に起こさなければならないので、相手が遠隔地にいる場合、この「調停」自体が重い負担になることがあります。

 

今回は、10年近く前に、一度調停をしていた、という事情はありましたが、

調停を省略して離婚訴訟を提起し、無事離婚を認める判決を得ることができました。

 

結果はもちろんですが、一度も北海道に足を運んでいないこと(交通費等の負担がなかった)、

初相談から3ヶ月で判決がでたことなど、

特筆すべき成果を得ることができましたので報告させていただきます。

 

もちろん、他の事件でもこれだけ短時間で済むわけではありませんが「なるべく早く」は当事務所が大切にしていることの一つです。

弁護士に相談する前に時間をかけるのではなく、ぜひ気軽に相談していただき、それを踏まえて「どうするか」を考えてというステップを踏んでいただきたいと思います。

そのために当事務所では「相談料は安く」「依頼されたらなるべく早く」を心がけています。

 

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2016.08.05
コラム

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弁護士には使命があります。

弁護士法という法律で「基本的人権の擁護と社会正義の実現が使命」だと定められています。

 

すでに報じられているように、沖縄県東村高江で、数々の人権侵害が起きています。

北部訓練場の返還に関するオスプレイパッド建設ですので、賛否はあると思いますし、私もその部分は難しい問題だと思っていいます。

しかし、そこで人権侵害が行われるのであれば、弁護士にとっては話は別です。

いずれの場面でも人権擁護のために汗を流すのが弁護士の使命、ということになります。

※憲法と法に反する権力の暴走を止めるため、一人でも多くの方に集まって頂きたいと思っています。

 

そんなことで、高江の件に汗を流せていただいていたところ、

今日は幸運にも、超党派の国会議員調査団のみなさまに、高江で起きている問題の法律関係、人権との関係などを説明させていただく機会をいただきました。
調査団は、衆議院議員の近藤昭一議員(民進党)と、

沖縄県選出の国家意義委員、赤嶺政賢議員(共産)、玉城デニー議員(生活)、照屋寛徳議員(社民)、糸数慶子議員、そして先日当選された伊波洋一議員でした。時折雨が降る中でしたが、議員団のみなさまは熱心に調査を行って下さいました。

 

町の弁護士に過ぎない私にとっては身に余る仕事で恐縮することばかりでしたが、

何とか重責を務められたのではないかと思っています。

 

人権侵害がわかりやすい場面ででるのは、こういった住民と国が対立したときですが、

同じような問題、悲しみや怒りは、私人と私人、私人と会社、会社と会社の間でも起きます。

 

もちろん、弁護士は公務員ではないので、職員の給料や事務所の賃料などを支払うためにも無償でお受けする、というわけにはいかないのですが、事件に対して全力を尽くすという面では、こういった活動と当事務所で多く扱う事件(離婚や損害賠償や刑事事件や取引に関するトラブルなど)の間に大きな差はないと考えています。

今後も、微力ではありますが何事にも全力を尽くしていきたいと思います。

 

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