南山法律事務所
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コラム
2018.05.29
お知らせ

『臨時国会召集要求 先延ばしは「違憲」県選出、野党国会議員提訴』

【2018年5月29日 琉球新報26面】

 

当事務所弁護士小口幸人の活動が新聞に掲載されましたので報告いたします。

 

先日5月28日、沖縄県から選出された国会議員5名の先生方を原告とし、

安倍内閣に対する違憲性を問うなどの訴訟が提起されました。

当事務所の弁護士小口幸人は、その代理人弁護団の事務局長として参加しております。

 

昨年(平成29年)6月22日に衆参両院の一部の国会議員より、

臨時国会の召集要求を受けた安倍内閣は、

それに約3ヶ月も応じず、ようやく同年9月28日に臨時国会をしました。

 

がしかし!!

会期冒頭、衆議院が解散され、召集要求の目的であったいわゆる森友学園・加計学園問題についての政治不信解消のための審議が行われないままとなり、さらに、衆議院解散に伴い、衆議院議員らは身分を喪失、参議院も閉会となってしまったため参議院議員らは、国会議員としての諸権能を行使する機会を奪われてしまったのです。

 

憲法53条後段には、

 

 “いづれかの議員の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならない。”

 

と定められています。しかしながら、召集までの期間は明記されておりません。

今回は、その期間についての明確化等を裁判所に求める訴訟内容となっております。

 

提出した訴状の控えをぱらっっと見てみると「田中(角)内閣」や「中曽根内閣」といった、

歴史の教科書に載っていた文字が目に入り込んできて、「これは歴史的な裁判なんだ!」と少し身震いしてしまいました。

 

裁判所においては、憲法を守るため、正しい判断を下してほしいと願います。

 

 

≪事務局≫

2018.05.28
お知らせ

本日(2018年5月28日)、沖縄県選出の5人の国会議員を原告とし、国を被告とする違憲訴訟を提起しました。(当事務所の弁護士小口は、弁護団(19人)の事務局長を務めています。)

 

原告は、赤嶺政賢議員、照屋寛徳議員、玉城デニー議員、糸数慶子議員、伊波洋一議員(選挙区順)の5人です。

裁判の内容は、2017年の臨時国会召集要求を、安倍内閣が無視したことの違憲違法を理由とするものです。

 

 

2017年6月22日、両議員の4分の1以上の国会議員は、安倍内閣に対し、臨時国会召集を要求しました。憲法53条は召集「しなければならない」と定めているのに、安倍内閣はこれを無視し続けました。

 

召集要求から98日も経った9月28日、安倍内閣は衆議院を解散させるためだけに臨時国会を召集しましたが、所信表明演説すらもせずに、衆議院を解散しました。

 

以上の違憲違法を理由に、以下の二つを求めています。
1 次に原告ら国会議員が臨時国会の召集を要求したときは20日以内に召集する義務があることの確認
2 1人あたり1万円の損害賠償

 

この裁判は右や左ではなく、国会の要求を内閣が無視したことを理由とするものです。間接的には、国民全体に対する侵害であり、極めて意義の高い裁判だと考えています。

 

さて、これと似た裁判が2月に岡山で起きています。国は未だに実質的な反論をできていません。それにもかかわらず、安倍内閣は、来月には通常国会の会期を延長せずに閉じようとしています。
仮にそうなれば、またもや臨時国会の召集要求がされるということになります。

 

合計6人の国会議員が裁判まで提起し、まともな反論すらできていないにもかかわらず、再び違憲違法な行為を繰り返すようなことは許されません。

ぜひ、この裁判を年頭に起きつつ、新たな文書がこれだけ出てきた中で、通常国会の会期は延長されるのか否かの報道を見守っていただき、適宜声をあげていただければ幸いです。

 

2018.05.08
コラム

法律には「民事の世界」と「刑事の世界」がある。法律相談のときに、よくこういう説明をさせていただいております。実際、裁判所は民事部と刑事部に分れています。

 

麻生副総理が、前財務事務次官のセクハラ問題について、「セクハラ罪という罪はない」という発言をされたので、これをきっかけに、「民事の世界」と「刑事の世界」の説明をしたいと思います。

 

 

【報道紹介】

麻生氏、また「セクハラ罪ない」持論重ねて主張、反発必至(共同通信)

「麻生太郎財務相は8日の閣議後の記者会見で、福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題に関連し「『セクハラ罪』という罪はない」との持論を改めて主張した。」(記事の一部を抜粋)

 

 

 

1 刑事の世界

刑事の世界の方が話しは簡単です。
誰かが刑法に違反することをすると、警察に逮捕され、検察に起訴され、裁判所で懲役刑になり、刑務所にいくという流れです。これが刑事の世界です。

つまり、刑法のルールに違反した人を、「国家」が処罰するというのが刑事の世界です。常に「国家→人」という関係になります。

逮捕するのは警察や検察で、裁判を起こす(起訴)のは検察官です。

裁判の内容は、内容は、常に刑法のルールに違反したかどうか、違反したのであれば刑罰はどうするかになります。

※刑法以外にも特別刑法があります。
※人には法人も含まれます。
※逮捕は個人でもできますが、速やかに警察に引渡さなければなりません。

 

2 民事の世界

では、民事の世界は何かというと、刑事の世界以外の世界です。
例えば、妻が夫に離婚を求めるのもそうですし、交通事故の被害者が加害者を訴えるのもそうです。労働者が会社に給料の支払いを求めるのもそうですし、殴られた人が殴った人に治療費の支払いを求めるのもそうです。

人(個人や法人)が人(個人や法人)に請求するという世界です。

訴えの内容は様々で、お金の請求であることが多いですが、立ち退きを求めることもあれば、離婚を求めることもあります。
※上記の人には、国や県や市町村が入ることもあります

 

3 二つの世界の関係

二つの世界はバラバラになっていますが、一緒に動くこともあります。

例えば、AさんがBさんを殴って怪我をさせたとします。

この場合、刑事の世界では、警察がAさんを逮捕し、検察が起訴し、裁判所がAさんの刑罰を決めます。

民事の世界では、BさんがAさんに対し、治療費等の支払いを求めて裁判を起こします。

 

この二つの世界のことが同時に起こる、つまり刑事の手続きをやっている最中にBさんがAさんに治療費等の請求をすることもありますが、多くの場合は、刑事の世界が終わった後に、民事の世界の裁判が始まっていますし、刑事の世界だけで民事の裁判は結局起きず、治療費等の弁償がなされないまま終わることもあります。

 

例えば殺人事件が起きると、ニュースでは刑事の世界の話ししか報じられませんが、その裏で、民事の裁判も起きることがあります。
ときどき、警察がなかなか動かないので、民事の裁判が先行し、その判決を受けて警察が動くこともあります。

 

よく、刑事事件の犯罪被害者の方の権利が問題になります。警察が犯人を捕まえて刑罰を科しても、それにより、被害者の損害が回復するわけではないからです。損害の回復は民事の世界であり、それは被害者が自分でやってという法律になっているのも問題の一つです。

※なお、平成19年の法改正で、被害弁償を円滑にするため、損害賠償命令という制度ができましたが、あまり広く利用されている印象はありません。

 

4 冒頭の麻生副総理の発言

さて、冒頭の麻生副総理の発言です。
セクハラは、刑法が定める犯罪ではありませんので、逮捕はされませんし、警察も検察も動きません。刑事の世界の話しではないということです。

では民事の世界ではどうかというと、セクハラは、民法709条の不法行為に該当することが多いです。損害賠償義務が発生します。
また、職場において懲戒処分の理由になることもあります。

前財務事務次官の件は、あくまでも民事の世界の話として話題になりました。雇用主が従業員に懲戒処分を下すべきか、報道機関の報道は名誉毀損になるか、被害者の被った損害はどうなるのか、という風にです。
全て、民事の世界の話しです。

 

それなのに、麻生副総理は「セクハラ罪という罪はない」と言い出したわけです。
法律には民事の世界と刑事の世界があり、この二つは基本的に別であるという基本的な理解があれば、こんな発言はしません。今回の発言で、麻生副総理が、この基本的なことを理解していなかったことが露呈してしまいました。

 

実は、これは大変深刻な事態です。

なぜなら、麻生副総理は、総理大臣を務めたこともある方であり、約40年間もの間国会議員を務めている(当選13回)、我が国屈指の国会議員だからです。

今回の発言で、あの麻生氏でさえ、民事の世界と刑事の世界という、法律の基本的なことを理解していなかったことが判明しました。とすると、他の国会議員は?ということになります。

 

国会は、法律をつくり、改正するところです。当然、法律に対するある程度の理解がなければ務まりません。理解しないまま意見を言えば的外れになりますし、適切に検討することもできず、判断を誤ります。

麻生氏が国会議員を務めているこの40年の間に、刑法も刑事訴訟法も何度も改正になってきました。最近は共謀罪というのもできました。
民事の世界の法律はもっと改正になっています。

 

もし、多くの国会議員が、民事の世界と刑事の世界という、法律の基本的なことすら理解しないまま、法律をつくったり変えたり議論してきたのだとすると、かなりゾッとします。

 

なんせ、刑事の世界は、国家が人を処罰する手続きですから、国会議員は、常に過剰な人権侵害になっていないか、警察が暴走しない歯止めはできているかに注意を払い、立法しなければなりません。

 

他方、民事の世界においては、両当事者が平等になっているか、つまり権利を得る人と義務を課される人の両方の立場を想像してみて、バランスがわるくないかを考える必要があります。

 

果たして、これまで国会では適切な検討がなされてきたのか、そして、これからはされるのか、一国民としてはかなり心配になりました。

 

国会議員に様々な方がなるのは当然なのですが、最低限の法体系の基本については、しっかり学んでいただきたいと思いますし、専門家からのレクチャーも必要に応じて受けてほしいと思います。