南山法律事務所
098-996-1564
沖縄県八重瀬町伊覇291-1(国道507号線沿い)
定休日:土日・祝祭日(定休日も事前予約で相談対応可)
コラム
098-996-1564

Web 相談予約

〒901-0405
沖縄県八重瀬町伊覇291-1
コラム
2018.07.20
被災者・被災地支援

先日のコラム 早急に義援金禁止法制定を で求めた義援金差押禁止法が、無事成立しそうです。ひとまずよかったです。

とはいえ、このようなドタバタになったのは熊本地震後も恒久法化されなかったことが原因です。速やかに臨時国会を開き、恒久法を成立させていただき、二度と同じことが起きないようにしていただきたいです。

2018.07.15
被災者・被災地支援

平成30年西日本豪雨の被害について、義援金を出した方は多いのではないでしょうか?

 

さて、みなさんはどんな気持ちで義援金を出しましたか?

被災者の方の「生活再建」に使ってほしいと思ってではないでしょうか。私もそうです。

 

しかし、このままでは義援金のかなりの部分が、

「地震で壊れた家の震災前のローンの返済」に充てられてしまうことになります。

 

これを避けるためには、東日本大震災のときのように、義援金差押禁止法の立法が必要です(東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律)。少し細かい話になりますが説明します。

 

まず、破産について定めた破産法という法律があります。破産法は、34条3項2号で、仮に破産をしたとしても「差押禁止財産」は手元に残して生活再建に使える、手元に残せると定めています。よって、義援金差押禁止法ができると、仮に被災者の方が破産したとしても、義援金を手元に残して生活再建に使うことがで
きるようになります。

 

そして、破産をしたときでさえ残せるわけですから、昨年12月に発表され、熊本地震で幅広く利用されることが見込まれている「被災ローン減免制度(自然災害による債務者の債務整理に関するガイドライン)」を利用して、震災前の住宅ローンの減額や免除を受けたとしても、義援金を手元に残し生活再建に充てることができるようになる、ということです(清算価値保障原則といいます)。

NHK時事口論「積極的な活用を! 被災ローンの減免制度」

 

例えば、震災で住宅が全壊等したときに受け取れる被災者生活再建支援金や、

震災でご家族が亡くなられたときに受け取れる災害弔慰金は、どちらも差押禁止財産になっています。

これと同じように、東日本大震災のときのように、義援金も差押禁止財産にされるべきです。

 

 

金融機関も被災したんだから、そんなことを定めるのはよくない、とお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、例えば金融機関はローンを組むときに「もしものときは義援金から返済してもらおう」と考えていたでしょうか。

 

こういった視点は法律の世界では「取引の安全」に関する重要な事項だと考えられています。世の中では多くの取引がされている以上、軽はずみに後から法律をいじって、取引当事者の予想外のことをしてはならないという考え方です。

この考え方はとても大事なのですが、私は義援金を差押え禁止にしても取引の安全を害さないと思います。

なぜなら、金融機関は地震保険加入を義務づけていないし、地震保険をローン返済の担保にとってもいないからです。地震のときのことを考えたならば、地震保険加入を義務づけ、地震保険金をローン返済の担保にとっているはずです。しかし、それすらもしていない以上、義援金を返済のあてにしているはずがありません(取引の安全のためにも、義援金差押禁止法は恒久法にした方がよいと思います)。

 

以上のとおりですので、義援金差押禁止法を、政府でも超党派の議員立法でもかまわないので、早急に立法してほしいと思います。

 

【さて】実は、ここまでの部分は、以前の私の投稿のコピペです。熊本地震のときにも、全く同じ問題状況が起きたのです。そして、実際に無事指摘しました。

平成二十八年熊本地震災害関連義援金に係る差押禁止等に関する法律

 

本来であれば、こういう問題は今後の災害でも起きるわけですから、「恒久」的な法律を次の国会あたりで成立させなければならないのですが、それがされないうちに、また大きな災害が起きてしまいました。

今国会の会期はあとわずかです。大至急、上記と同様の特措法を成立させた上で、秋の臨時国会では必ず恒久法の制定をお願いしたいです。

 

2016.11.11
被災者・被災地支援

 

災害で家族を亡くした場合、遺族に弔慰金を支給するという「災害弔慰金」という制度があります。

東日本大震災のときに、災害弔慰金支給審査委員をした関係で、引き続きこの制度に注目しています。

 

災害弔慰金は一般的には「500万円」とされていますが、実際はほとんどの場合250万円しか支給されてきませんでした。昭和50年に出された通達により悪しき運用が固定化していたからです。

 

この通達による運用が、2016年5月25日の国会審議、具体的には民進党の広田一議員(高知)(当時)の質問を受けた河野太郎(自民)防災担当相の答弁により、熊本地震の分から見直されることになりました。

見直しによりどう変わったのかが少しわかりましたので、端的に報告させていただきます。

 

東日本大震災における災害弔慰金の支給件数は2万件を越えていましたが、500万円支給されたのは3827件(2015年3月末時点)わずか約19%だけでした。

熊本地震における災害弔慰金の支給件数は94件(2016年9月末)、支給総額は2億9750万円(以上独自調べ)だったので、500万円支給されたのは25件、約26%となります。

 

以上の数値から、運用見直しにより500万円支給されるケースが多少増えたことがわかります。

 

ただ、これで十分かというと、全くそういう気はしません。もっと上昇してよいはずです。

ぜひ、各地の災害弔慰金支給審査委員会と自治体は、亡くなった方が「主たる生計維持者」であったか否かを、より具体的かつ実質的に審査してほしいと思います。

 

※より詳しい関連記事はこちら

 

13112564_833607760072172_916085971_o

2016.06.15
被災者・被災地支援

無題

 

4月24日のコラムで取り上げさせていただいた、

災害関連死・災害弔慰金の支給金額の運用見直しの件です。

 

この件が6月1日付けの内閣府通知により無事、見直されました。

 

東京の議院会館まで足を運んで取り上げていただくようお願いした者としては、これ以上嬉しいことはありません。熊本地震の災害弔慰金支給に間に合ったので、熊本地震の遺族から、新たな要件で支給されることになりました。

 

他にも、4月29日のコラムで言及させていただいた、義援金差押禁止法も、

無事成立にこぎ着けています。

 

また、5月12日のコラムで言及させていただいた、有志弁護士142名による共同緊急声明で言及した災害関連死の審査委員会設置についても、

先日の熊本県議会でとりあげられ、無事県への委託は行われず、市町村に設置、それを県が支援、という方向に進んでいます。

 

弁護士は、もちろん目の前の方のために全力を尽くす仕事です。

しかし、実はそれだけではなく、不十分な法制度の改善に努力する義務を負っています。制度を改善できれば、自分が個別救済するのとは比べものにならないほど多くの方の権利を実現、救済することができます。

今後も、災害関連を中心に、微力ながら立法活動にも取り組んでいきたいと思っています。全くお金にはなりませんが…。

 

内閣府の通知はこちら→ 災害弔慰金等の支給の取扱いについて

報道は以下のとおりです。

 

災害弔慰金 支給要件見直し

http://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/6043160641.html

 

内閣府は、災害で死亡した人の遺族に支給する災害弔慰金の支給要件を見直し、家計を主に支える人が死亡した場合は遺族の収入に関わらず、満額の500万円を支給することになりました。
要件の見直しは東日本大震災の遺族などが求めていたもので、熊本地震の遺族から適用されます。
災害弔慰金は、国などが災害で死亡した人の遺族に支給しているもので、死亡した人が▼家計を主に支えていた場合は500万円、▼そうでない場合は250万円が支給されます。
このうち、家計を主に支えていた人については、昭和50年の旧厚生省の通知に基づいて、遺族の年収が103万円を超える場合は半分の250万円しか、支給できないとしてきました。
東日本大震災では去年3月末までにあわせて2万件あまりの災害弔慰金が支給されましたが、500万円が支給されたのは全体の19%で、遺族や専門家が「共働きが多い現在の社会情勢を反映していない」などとして、要件の見直しを求めていました。
内閣府は、通知が出された時と社会情勢が変わったとして、6月1日付けで家計を主に支えていた人が災害で死亡した場合は、遺族の収入に関わらず、満額の500万円を支給するよう都道府県に対して、新たな通知を出しました。
この要件の見直しは、ことし4月の熊本地震の遺族から適用されます。
今回の見直しについて、岩手県陸前高田市で被災者から災害弔慰金の相談を受けている在間文康弁護士は、「東日本大震災の教訓を踏まえた判断で今後の被災者を勇気づける大きな一歩だと思う。災害弔慰金が満額、もらえないことで、遺族からは『自分が働いているがゆえに家族の命の価値が減ってしまった』という声も上がっていたので、今回の変更は非常に大きな意義があると思う」と話していました。

06月15日 17時57分

 

2016.05.28
被災者・被災地支援

熊本地震の被災地では、どこまでの方が仮設住宅に入居できるのか、という問題が起きていました。

普段は全壊の被害等を受けた方まで、となってますが、大規模災害が起きる毎に緩和されています。

 

今回もようやく、大幅に要件が緩和されました。
この件は、5月25日に国会(参議院災害対策特別委員会)でも取り上げられ、周知が行き渡っていないことが問題とされていましたので、

 

本ブログにも事務連絡を掲載して、ささやかですが周知に協力したいと思います。

熊本の被災者の方と、この事務に携わっている方に届くようご協力お願いします。

 

※事務連絡そのものは、どこにも掲載されていないようです。

PDFはこちら 280524内閣府防災事務連絡仮設入居要件緩和

 

280524内閣府防災事務連絡仮設入居要件緩和_03280524内閣府防災事務連絡仮設入居要件緩和_04

2016.05.13
被災者・被災地支援

熊本地震について、4月29日のコラムで求めた「義援金差押禁止法」の検討が、

無事国会で進んでいるようです。

 

実はこの間、永田町の国会議院会館まで足を運び、複数の国会議員に立法を求めたり、
日本弁護士連合会の熊本地震災害対策本部の中で意見したりしていたので、こういった動きに繋がって本当によかったです。

 

そうはいっても、今国会の会期は短いので気は抜けません。つつがなく進んでいただければと思っています。

 

 

(以下、民進党のHPより引用)

 

義援金差し押さえ禁止の議員立法を検討 熊本地震対策本部第5回会議(民進党HPより)

https://www.minshin.jp/article/109055

 

民進党は12日午後、熊本地震災害対策本部の第5回会議を国会内で開き、政府・与党に提案した緊急申し入れなどに対する関係府省庁の対応について説明を聞いた。

被災者に分配される義援金が金融機関などの差し押さえの対象になる可能性があることから、与党と民進党との間で差し押さえ禁止の特別措置法を検討していることも報告された。

内閣府など関係府省庁から11日までの人的・物的被害、避難の状況や物資・生活支援の状況、災害ボランティアの活動状況などについて報告があった。民進党が申し入れた「激甚災害の指定」については4月25日に閣議決定したこと、熊本震災対応の補正予算が予備費からの7000億円程度になるとの説明があった。

これらの報告に対して「熊本城の所有権が文化庁にあるのなら、国が復旧費用の全額を負担すべきではないか」「南阿蘇鉄道やJR豊肥本線の復旧支援が補正予算に入っているのか」「義援金を受け取ると生活保護が切られてしまうとの不安がある。義援金は生活保護を減額する一時所得にはならないとの線引きをすべき」などの被災地からの要請について政府に対応するよう求めた。

民進党企画広報局

 

2016.05.12
被災者・被災地支援

SKM_C30816051211260

本日、熊本地震の「震災関連死」について有志の弁護士142名の共同声明をとりまとめ、

内閣総理大臣・熊本県知事・熊本県内市町村長等、関係機関に送付しました。

 

昨日午後3時43分に私が呼びかけ、本日の午前10時までの約18時間で、実に141名もの弁護士に賛同いただきました。

※ご賛同いただいた先生方、本当にありがとうございました。

 

それだけ、「震災関連死」に関する問題が重要であり、この声明に過去の震災の教訓が凝縮されている、とご理解いただければ幸いです。

 

有志弁護士142名による共同声明

(声明文や賛同弁護士の一覧は上記PDFのとおりです)

 

震災関連死の審査を地元市町村で行うこと等を求める弁護士有志による緊急声明

2016年5月12日

 

第1 緊急声明の趣旨

1 被災市町村は、震災関連死の審査を県に委託するのではなく、各市町村に災害弔慰金等支給審査委員会等を設置し、自ら審査すべきである。
2 審査委員会の委員を選任する際は、弁護士の委員を複数選任すべきである。
(以上同趣旨2013年9月13日付日本弁護士連合会「震災関連死に関する意見書」)
(以上同趣旨2012年9月24日付岩手弁護士会「災害関連死の審査方法に関する要望書」)

 

 

第2 緊急声明の理由

1 審査は地元市町村で行われるべきである

2016年5月11日、NHKは熊本地震の「震災関連死」の認定について、県と市町村で意見交換会が開催されること及び市町村から審査を県に委託したいという要望が出されていることを報じた。
熊本地震の被害は甚大であり、被災市町村は、避難所の集約、仮設住宅の設置、復興計画の策定等、多大な業務を抱えている。被災市町村が抱える業務のうち、県等に委託しても差し支えない業務とそうでない業務の仕分けは重要であり、国と県は、市町村へのより一層の職員派遣等を含めた支援を早急に行うべきである。

 

しかし、亡くなられた被災者とご遺族にとって、関連死の審査が適切になされることは極めて重要である。関連死の審査は、弔慰金の支給不支給を決するだけでなく、災害の影響で死亡したかどうかを公的に認定する手続である。災害による死亡として数えられるかどうか、周年行事に遺族として呼ばれるかどうか、慰霊碑に刻まれるかどうか等に影響する。その結論は、突然の死をどう受け止めるか、という遺族の内心にも大きな影響を与えるものである。

 

したがって、復興計画を地元市町村が策定しなければならないことと同じく、震災関連死の審査は、是非とも地元市町村において適正に行わなければならない。例えば、岩手県沿岸で唯一県に委託することなく、自ら審査にあたった山田町の担当者は「関連死が認定されれば、災害弔慰金や義援金など多くの支援を受けられる。正確な判定をするために力を尽くすのは、同じ町民として当然のこと」と述べている(2014年3月12日毎日新聞より)。
なお、東日本大震災後、厚生労働省が各事務担当者宛に事務連絡を発出したのは約50日後の2011年4月30日、厚労省が審査委員会設置に関する通知を発出したのは約3か月後の6月17日、山田町の審査会開催されたのは震災半年後の9月6日、岩手県が審査委員会を設置したのは震災約8か月後の11月である。

 

 

2 東日本大震災における教訓

東日本大震災において、岩手県と宮城県内の多くの市町村は、県に審査を委託した。しかし、その結果、県に設置された審査委員会における認定率が、市町村に設置されたほとんどの審査委員会の認定率を下回るなど、様々な問題が発生した。

 

適正な認定を行うためには充実した調査が必要不可欠であるところ、亡くなられた方の通っていた病院がどこか、受けていた介護サービスの内容、交友関係等、調査の端緒となりうる情報は市町村が把握している。市町村であれば元々ある情報に基づいて充実した調査を行うことができても、県では困難である。さらに、地元における被災の程度、ライフラインの回復状況、物資の供給状況や地域毎の被災者の窮状は、地震災害においても市町村毎に異なっている。その実情を、正確に把握できているのは県ではなく市町村である。

 

さらに、県に委託した市町村では、以下の様な問題が生じている。

ア 震災関連死の審査に係る「申請件数」自体が少ない。特に宮城県に委託した市町村で震災後6ヶ月以上経過した後に亡くなられた件に関する「申請件数」が著しく少ない。
イ 委託した場合でも、審査主体は市町村であり、不支給の決定は市町村が行うところ、審査を実際に行っていない市町村は不支給となった理由を十分に把握できないため、遺族への丁寧な説明が困難となる。
ウ 審査に必要な調査の中には、地元市町村しか行えないものがあるため、市町村の負担はさほど軽くならない。

 

例えば委託を受けた岩手県災害弔慰金等支給審査会の委員を務めた宮本ともみ教授は「弔慰金支給の判断に適しているのは被災した地元市町村である。というのは、住民の状況あるいは被災地の現状を肌身で感じているからである。市町村はいちいち委託先の審査会に資料を送り判断を仰ぐことよりも、よほど迅速に医療機関や福祉施設などに必要な調査を行うことができる。また、住民にも直接説明をすることができる。住民の感情面でも、委託先の審査会の判断というのと、地元自治体判断というのでは受け止め方が異なる。」と、委託を受けた県の審査委員でありながら、市町村で審査を行う重要性を具体的に指摘している(『災害復興の法と法曹』51頁、2016年、成文堂)。

 

また、自分の町で審査することを決断した岩手県下閉伊郡山田町の沼崎喜一前町長は「住民に納得してもらうため、町だからこそ丁寧な審査ができる」と指摘し、山田町で審査にあたった委員の平泉宣医師は「山田町の審査ならば、通院歴がないだけでは退けず、自殺当時の状況を詳しく調べる。盛岡市で開く県の審査会は被災地から遠く、審査件数も多いので、地元の情報や資料の入手に限界があるのではないか」と指摘している(いずれも2014年3月12日毎日新聞より)。

 

 

3 法律の趣旨と小括

災害弔慰金の支給等に関する法律は、災害弔慰金の支給を、被災者に最も身近な基礎自治体である市町村に委ねている。被災市町村はこの趣旨と東日本大震災における教訓を踏まえ、審査を県に委託することなく、それぞれ審査委員会を設置し審査すべきである。また国や県は、市町村が審査会の設置等を負担少なく行えるよう、職員の更なる派遣も含め、必要な支援をすべきである。

 

 

4 審査委員には、弁護士委員を複数(できれば3名)選任すべきである

震災関連死の審査は、一義的には被災市町村が行う。しかし、市町村の判断の是非は裁判所の取消訴訟等で判断されることになる。明確な審査基準を策定するためには判例の集積が必要不可欠であるが、残念ながら震災関連死の審査にかかる判例の数は少なく、明確な審査基準を策定することは困難である。仮に政府が基準をつくっても、三権分立である以上、裁判所は独自に判断をすることになる。
そこで、「判断主体」と「判断手法」を、裁判所におけるそれとを可能な限り同じくすることで、裁判所で下される結論と市町村における結論の齟齬を減らすことが重要となる。

 

震災関連死の認定において問題となり,審査会の審査の対象となる因果関係は「法律上の相当因果関係の有無」である。裁判所では、この有無を3名の裁判官が合議の上で判断している。

 

そこで、審査委員に弁護士を複数(できれば3名)選任した上で、最終的な結論を弁護士委員の合議に委ねること等で、「判断主体」と「判断手法」を裁判所と可能な限り同じくすることができる。もちろん、審査には医師の委員が必要である。特に震災関連死の審査においては、被災者の抱えるストレスを正しく認定し考慮する必要があるので、外科、内科に加え、精神科の医師等の選任が必要である。しかし、判断対象が「法律上の相当因果関係の有無」という法律事項であり医学上の因果関係でないこと及び裁判所における判断は裁判官3人が合議で行っていることに照らせば、弁護士を複数(できれば3名)選任し、適正な審査を行うべきである。

以 上

 

 

2016.04.29
被災者・被災地支援

同じ九州。

熊本地震で被災された方のために、義援金を出した方は多いのではないでしょうか?

 

さて、みなさんはどんな気持ちで義援金を出しましたか?

被災者の方の「生活再建」に使ってほしいと思ってではないでしょうか。私もそうです。

 

しかし、このままでは義援金のかなりの部分が、

「地震で壊れた家の震災前のローンの返済」に充てられてしまうことになります。

 

これを避けるためには、東日本大震災のときのように、義援金差押禁止法の立法が必要です(東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律)。少し細かい話になりますが説明します。

 

まず、破産について定めた破産法という法律があります。破産法は、34条3項2号で、仮に破産をしたとしても「差押禁止財産」は手元に残して生活再建に使える、手元に残せると定めています。よって、義援金差押禁止法ができると、仮に被災者の方が破産したとしても、義援金を手元に残して生活再建に使うことがで
きるようになります。

 

そして、破産をしたときでさえ残せるわけですから、昨年12月に発表され、熊本地震で幅広く利用されることが見込まれている「被災ローン減免制度(自然災害による債務者の債務整理に関するガイドライン)」を利用して、震災前の住宅ローンの減額や免除を受けたとしても、義援金を手元に残し生活再建に充てることができるようになる、ということです(清算価値保障原則といいます)。

NHK時事口論「積極的な活用を! 被災ローンの減免制度」

 

例えば、震災で住宅が全壊等したときに受け取れる被災者生活再建支援金や、

震災でご家族が亡くなられたときに受け取れる災害弔慰金は、どちらも差押禁止財産になっています。

これと同じように、東日本大震災のときのように、義援金も差押禁止財産にされるべきです。

(※熊本地震のために特措法をつくった上で、今度こそ恒久法として定めてほしいです。)

 

 

金融機関も被災したんだから、そんなことを定めるのはよくない、とお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、例えば金融機関はローンを組むときに「もしものときは義援金から返済してもらおう」と考えていたでしょうか。

 

こういった視点は法律の世界では「取引の安全」に関する重要な事項だと考えられています。世の中では多くの取引がされている以上、軽はずみに後から法律をいじって、取引当事者の予想外のことをしてはならないという考え方です。

この考え方はとても大事なのですが、私は義援金を差押え禁止にしても取引の安全を害さないと思います。

なぜなら、金融機関は地震保険加入を義務づけていないし、地震保険をローン返済の担保にとってもいないからです。地震のときのことを考えたならば、地震保険加入を義務づけ、地震保険金をローン返済の担保にとっているはずです。しかし、それすらもしていない以上、義援金を返済のあてにしているはずがありません(取引の安全のためにも、義援金差押禁止法は恒久法にした方がよいと思います)。

 

以上のとおりですので、義援金差押禁止法を、政府でも超党派の議員立法でもかまわないので、早急に立法してほしいと思います。

 

※同じ提言をしている専門家として、災害復興法学の第一人者岡本正弁護士がいます。

「義援金が金融機関に差し押さえられてしまう可能性も」熊本地震・慶大で緊急セミナー

 

※ちなみに被災地の金融機関の心配をし過ぎなくても大丈夫です。例えば東日本大震災後地元金融機関の多くは過去最高益をあげました。理由は、義援金や支援金や地震保険などが「預金口座」に振り込まれ預金残高が増える上に、復興特需により建設会社が復活し焦げ付いていたローンが回収できるようになったりするからです。むしろ多くの被災者の方が生活再建して新たに住宅を建設できる状態になる方が、長期的に見れば金融機関にとっては得なはずです。

 

※なお、被災ローン減免制度(自然災害による債務者の債務整理に関するガイドライン)は、東日本大震災のときの個人版私的整理ガイドラインを元につくられました。そのときの制度概要を解説した動画(私作成)はこちらです。制度のイメージを掴む参考にはなると思います(違う制度なので細部は違いますが、利用のメリットなどのイメージは掴めると思います。)。

 

13054389_829995240438048_1504779038_o

2016.04.24
被災者・被災地支援

13052541_829995230438049_1296417151_o私は、東日本大震災のときに、岩手県山田町と岩手県田野畑村の災害弔慰金支給審査委員会の委員を務め、100件以上の審査に携わりました。

 

災害関連死(震災関連死ともいいます)については、東日本大震災で多くの問題が指摘されています。正直、時期尚早の面もありますが、いまのうちに関係者の方に知っておいていただきたい、災害弔慰金の支給金額の問題について、コラムを書いてみます。
※審査基準等については、後日書きたいと思います。

 

 

1 既に関連死12名

 

熊本地震では、既に、関連死が12件出ていると報じられています。

東日本大震災で発生した3000件を超える関連死を国が集め、しっかりとした災害対策を講じていたならば、1件でも減らせたのではと思わずにはいられません。

 

「熊本地震 震災関連死が12人に」 

毎日新聞2016年4月23日 http://mainichi.jp/articles/20160423/k00/00e/040/192000c

 

南阿蘇で家屋下敷きの69歳女性

熊本県は23日、熊本地震の震災関連死とみられる死亡者が1人増え、12人になったと発表した。この1人は16日の地震により、同県南阿蘇村で家屋の下敷きになり、21日に死亡した女性(69)。村が22日に発表し、県に届け出ていた。地震による直接の死者48人を含めた犠牲者は計60人になった。

県は警察などが遺体を確認する「検視」を経たケースを直接死、それ以外を関連死とみられる死としている。【中村清雅】

 

 

2 災害関連死の審査手順

 

災害関連死であるかどうかは、市町村が判断します。明らかに災害関連死であると判断できるのであれば、審査委員会等を開かずに認定して構いません。

他方、明らかに災害関連死であると認定できる事例以外は、弁護士や医師などで構成された審査委員会を設置し、そこで審査することになります。
間違っても、審査委員会を設置することなく、災害関連死ではないという判断がされてしまうことがないよう注意が必要です。

 

 

3 支給金額についての問題のある運用

 

さて、冒頭にお話しした金額の件です。

災害により亡くなられた場合、ご遺族の方に災害弔慰金が支給されます(恐らく赤十字等からの義援金も支給されます)。災害関連死の場合も同様です。
主たる生計維持者が亡くなった場合は500万円、その他の場合は250万円が支給されます(災害弔慰金の支給等に関する法律施行令1条の2)。

 

ところが、この「主たる生計維持者」であるかどうかの判断が、非常に不当なものとなっています。例えば、次の世帯でAさんが死亡した場合、現在の運用では250万円しか支給されません。

 

三人ぐらしの世帯 所得はAさん(1000万円)、Bさん(150万円)、Cさん(0円)

 

私はこの世帯のAさんは主たる生計維持者だと思いますが、そうではないと扱われてしまいます。その原因は、昭和50年1月29日社施第17号厚生省社会局長通知という古い通知に基づいて運用されており、東日本大震災後、ときの厚生労働大臣が見直しを名言したのに満足な見直しがされていないからです。

 

昭和50年1月29日社施第17号厚生省社会局長通知
この通知は、主たる生計維持者を次のようにしています(読み飛ばしても大丈夫です)。

社会通念上、死亡者が受給遺族の主たる扶養者であったと見られる場合で、かつ、受給遺族に収入がない場合又は受給遺族の収入が所得税法(昭和40年法律第33号)第2条第1項第33号ロに規定する控除対象配偶者に係る所得金額の制限を受ける限度(昭和50年1月現在、この額は70万円である。)以内の場合をいう

 

この通知に基づくと、一つの世帯に、年収103万円を超える(昭和50年以降の所得税法の改正で金額が変わりました)の人が二人以上いた場合、その世帯には「主たる生計維持者」は存在しない、という判断になります。103万円というのは、配偶者控除の基準とされているあの金額です。

上記のAさんのケースでは、Bさんが103万円を超えて稼いでいるため、弔慰金が250万円になります。

この運用が別の意味でもおかしいことは、例えば次の世帯でDさんが亡くなられた場合を考えるとわかります。

 

三人暮らしの世帯 所得はDさん(130万円)、Eさん(100万円)、Fさん(100万円)

 

このケースでは、EさんとFさんはいずれも103万円未満なので、Dさんは主たる生計維持者、ということになります(103万円に届かないように調整して働いている方は多くいます)。

 

 

私はこの厚生省社会局長の通知は、法令の解釈を誤った違法な事務運用であるから、例えば上記のAさんのケースであれば、裁判所に行政訴訟を提起して500万円の支給を受けることが可能だと考えています。

しかし、残念ながらそのような判例は存在しないため、現在もこの運用が続いています(満足に争われたケース自体がないと認識しています)。

 

その結果、実は東日本大震災でも、広島の豪雨災害でも、実に8割以上のケースでは弔慰金は250万円しか支給されていません(このことは、2014年8月20日に読売新聞が報じています(記事には私が登場します))。

 

 

4 大臣が見直しを名言したにもかかわらず

 

さらにこの問題は、東日本大震災後国会でも問題視されています。
2011年10月24日の衆議院東日本大震災復興特別委員会において、当時野党の公明党石田議員の質問に、当時与党の小宮山大臣は次のように答えていますが、ほんの些細な運用改善がなされただけで、この問題は解決されませんでした。

 

小宮山国務大臣「おっしゃるように、私も、今のこの時代には合っていないのできちんと対応を考えさせていただきたい。ただ、それを政令、省令という形でするかどうかについては検討の中でまた考えさせていただきたいと思いますが、はっきりとわかりやすい形でお示しをしたいと思っています。」

 

 

5 国は早急な見直しを

 

このままでは熊本地震のケースにおいても同様の運用がされる恐れがあります。

ぜひ、政府には早急な見直しをお願いしたいです。

2016.04.20
被災者・被災地支援

File0103

災害対策本部の本部長が、安倍総理ではなく、河野大臣(防災担当)であることが判明しました。

 

安倍総理が本部長になる、最も権限の強い災害対策本部もあるのですが、それは現在も使われていない、ということです。とんでもないことです。

 

ベストを尽くしていない、という点でもそうですが、現行法制度上ある制度を全然使い尽くしていないのに、4月15日の時点で「憲法改正」「緊急事態条項」に菅官房長官が言及していたことを含めると、尚更とんでもないことです。

哀しいことですが、政府には考えを改めて、姿勢を変えていただく必要があると思いますので、ぜひシェアをお願いします。
(この件は民進党の蓮舫議員の指摘で気づきました)

 

1 「緊急災害対策本部」と「非常災害対策本部」

まず、災害対策基本法が定める災害対策本部には、
最上位の「緊急災害対策本部」とその下の「非常災害対策本部」があります。この二つの本部は名前が違うだけでなく、権限、つまりできることにも差があります。

阪神淡路のときも非常災害対策本部で対応されたようですが、これは当時の法律が、災害緊急事態の布告をしないと「緊急災害対策本部」が招集できないものになっていたからです。
(この教訓を踏まえた改正が1995年になされ、緊急災害対策本部は招集されやすいものになりました)

そして、緊急災害対策本部を初めて招集したのは、民主党の菅総理、3.11のときです。法制度上最大の権限を行使できるようにした、ということです。

 

その後の災害、例えば広島豪雨災害も、「緊急災害対策本部」ではなく、「非常災害対策本部」で対応されています。

よって、4月14日の最初の震度7の地震のときに招集されたのが、非常災害対策本部であったことは、それなりに合理的だと思います(とはいえ、阪神淡路の教訓を踏まえて緊急災害対策本部の招集がされやすい改正がされていることを踏まえると、この時点で緊急災害対策本部、という選択肢もあったように思います。)

 

しかし、4月16日未明のM7.3で次元が変わりました。被害は深刻に、そして範囲が拡大しました。

よって、この時点で法律に基づき、非常災害対策本部から緊急災害対策本部への移行を行い、安倍総理自ら本部長に就任し、緊急災害対策本部だからこそ認められている権限も含めて、最大限の措置をとる必要があります。

しかし、それが今持ってなされていません。
そして、権限のこともそうですが、政府は最大限の努力をしていることを被災者や被災地の首長に示す必要があるのですが、それが今もってされていないということです。

 

2 他の対応にも見える政府の姿勢

他にも、激甚災害の指定もまだですし、被災者生活再建支援法の適用もまだです(全壊戸数からすれば熊本県に適用できます)。また、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律による特定非常災害の指定もされていいません。大分県には災害救助法の適用がされていませんし、大分県の全壊戸数が0のままです。ホンマかいなという気もしています。

要するに、政府は4月14日の震度7のときの体制のままであって、4月16日のM7.3を受けた体制になっていないし、TPPの審議を始めているところを見ると、頭の中もM7.3モードになっていないのだと思います。

 

3 政府にがんばっていただきたい

被災者の命がかかっている問題です。次元が変わったことを理解し早急に頭を切り替えて、体制も切り替えて取り組んでほしいと思います。
ぜひ切り替えていただいて、私も含めて、心から応援できる政府になってください。

私も一国民です。こんなときに政府は批判したくありません。しかし、今回の政府の対応はあまりにも酷すぎます。外圧によってショックを受けていただくしかない、と思っています。ぜひ認識を改めて、政府には体制見直しも含めて全力を尽くし、頑張っていただきたいと思います。