当事務所の弁護士小口を含む弁護士5名と、憲法学者らが、先日8月30日に参院議員会にて記者会見を行いましたので報告致します。
『「臨時国会召集しないのは違憲」「司法を軽視するな」弁護士、学者が岸田内閣に説明求める』
https://www.bengo4.com/c_1017/n_14929/
【2022年8月31日 弁護士ドットコムニュース】
先日8月18日、衆参の野党5党は、憲法53条に基づき臨時国会の召集を求めました。
これに対し、政府は早期の召集には応じない構えをとっています。
この態度について憲法学者や弁護士らが憲法に違反しているとして緊急の記者会見を開きました。
実は、野党が臨時国会の召集要求を出したのは、今回が初めてではありません。
過去にも、閉会中に議論しなければならない、説明していただかないといけない問題がある際(国会を閉じている場合ではない時)は臨時国会の召集を要求してきました。
(参考:憲法53条に基づく最近の野党の臨時国会召集要求)
2013年9月(福島第一原発の処理水漏れ問題など※参院側のみ)、
2015年10月(安全保障関連法の運用など)、
2017年6月(森友・加計学園問題の真相解明)、
2020年7月(新型コロナウイルス感染症や豪雨災害の対応)、
2021年7月(新型コロナウイルス対策や、五輪、豪雨災害の対応)
しかし、政府は早期に応じることはなく、特に2017年6月においては、98日間にわたって召集されず、さらに召集された途端、解散を宣言し、議論が交わされることはありませんでした。
この2017年に安倍政権が臨時国会を召集しなかったことについて、国会議員を原告として賠償を求めている裁判が、憲法53条違憲国賠訴訟になります。
この裁判は、東京、岡山、沖縄で行われており、現在はそれぞれの訴訟が最高裁判所に係っている状況にあります(当事務所の弁護士小口が沖縄訴訟の弁護団事務局長をしています)。
これまでの裁判のうち、一審の那覇地裁での判決は「内閣の裁量は必ずしも大きくない」と指摘し、また岡山地裁判決でも「召集決定は事務的手続きにすぎず、時期等を国会との関係のために調整できるものではない」としています。
そうすると、今回2022年8月に出された臨時国会召集要求に対する政府の回答「憲法は召集時期について触れられていないため、内閣に委ねられている。」は、回答として的を射ていないことになります。裁判所の判断を前にしてもなお、政府がこの態度をとる姿勢は、裁判所判断を軽く見ているとしか思えません。
昨今、国葬や政治と宗教の問題、新型コロナウイルス対策など、日本が抱える問題は数多あり、これらのワードを耳にしない日はありません。
しかし、国会はというと・・・現在閉会中の状況にあります。
つまりは、問題が浮かび上がってくるばかりで、なんら話し合いがなされていないことになります。
では、これらの問題はどうなってしまうのでしょうか?
また、これからの日本はどうなっていくのでしょうか?
憲法は国民の自由と平等、平和を守るためにあります。
決して政治のためにあるわけではありません。
私たちの生活や将来のために、私たちが投じた1票を無駄にはしてほしくありません。
そして「どうせ」と諦めさせない綺麗な政治を切に願います。
また、今回の記者会見について、弁護士小口もコラムを掲載しております。ぜひご一読ください。
記者会見(臨時国会召集要求)
《事務局》