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コラム
2024.12.12
コラム

 

『災害関連死の備え不足』『北部5市村 改善検討』

【2024年12月12日 沖縄タイムス・22面】

 

 

先月11月9日未明、沖縄本島北部を中心に豪雨災害が発生し、それから約1か月が経過しました。

しかし、被害に遭われた方の中には、未だご自宅に帰れず避難所での生活を送っている方々がいます。

慣れない生活、不自由な生活が長期化することで、次に不安視されるのは、災害関連死です。

災害関連死と認定されると、ご遺族には災害弔慰金が支給されるほか、奨学金の対象や様々な支援を受けることができるようになるのですが、残念なことに、沖縄県内では、災害関連死に関する条例について、那覇市以外の市町村には独自の備えがなく、県市町村総合事務組合に丸投げしている状況となっています。

 

県市町村総合事務組合にその条例があるからいいのではないか?

そう思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

ただ、それについて弁護士小口はこうコメントします。

地域に疎い委員や職員だけで審査をすれば、本当は関連死なのに却下してしまう恐れが高まるというのが過去の震災の教訓。」

 

実際に、東日本大震災において、認定審査を外部に委託したエリアについて、関連死の認定率が低くなることも起こっています。

 

 

今年4月、沖縄県内の災害関連死の認定業務が県市町村総合事務組合に丸投げされていることについて報道があり、それを受けて沖縄県は市町村に対し「支給迅速化の観点からも条例を制定し、審議会の設置を進めてほしい」と要請しているようです。

(以下、今年4月の報道の際の弊所コラム記事です。ご参考までにご覧ください。

「=新聞掲載情報=『災害関連死 備え薄く』『認定業務の認識 規約もなし』沖縄タイムス」

https://www.nanzanlaw.com/column/2602

 

 

悲しいことに、日本各地、そして世界中で、多くの自然災害が発生し、そのたびに目を覆うような辛い報道が流れます。

沖縄県、沖縄県内市町村はこれらの報道をどう見ていたのでしょう。

災害への意識の薄さ、防災の知識不足がうかがわれます。

 

万が一災害が発生した際に重要なのが、これ以上の被害を出さないこと、災害関連死が発生しないよう万全の対策を施すこと。

ですが、そのために、過去の災害や災害関連死から、その発生経緯や状況を学ぶことこそが、万全な対策への大切なステップの1つだと考えます。

 

4月のコラムと繰り返しにはなりますが、過去の災害で失った大切な命を決して無駄にすることのないよう、これからの万が一に備えて、将来を創っていくべき、創っていこうと思います。

 

≪事務局≫

2023.09.13
コラム

2023年9月12日、最高裁判所第三小法廷において、歴史的な最高裁判決をいただきましたので、後のためにも、報告させていただきます。

 

第1 実質勝訴            

今回の裁判は、国家賠償請求訴訟、つまり、損害賠償の形をとっていますが、国からお金を取りたいから、この方法を選択したのではありません。過去に例のない裁判であるところ、訴訟要件に問題がない方法として、便宜的に、この形を選択しました。そのため、請求額はたった1万円としました。

お金ではなく、何が目的だったのか。それは、次の三点です。

 

ア 憲法53条後段が定める内閣の臨時国会召集決定義務は、政治的な義務や訓示規定ではなく、法的義務であることを明確にしたかった。

イ 合理的期間だけでは不十分なので、何らかの日数、数字を示してほしかった。

ウ 次に同じこと、つまり、憲法に基づく臨時国会召集要求がされたにもかかわらず、内閣が、与党と相談して決めるなど、すぐに召集しようとしなかったときの解決手法を示してほしかった。

 

9月12日の裁判では、無事、三つの目的を全て達することができました(詳しくは後述)。よって、敗訴と報道されていますが、勝訴、厳密には実質勝訴という受け止めをしています。

このことは、例えば、国の主張が、全くと言っていいほど、裁判所に採用されていないことからも明らかです。国の主張は、主に次の四つでした。

 

あ 高度に政治的な統治行為だから、司法権の範囲外である。

い 「あ」でなかったとしても、法律上の争訟ではないから、裁判所が判断することは許されない。

う 憲法53条後段が定める義務は、政治的な義務であって法的義務ではない。

え 国会議員一人ひとりが、個人の損害賠償を請求できるような件ではない。

 

最高裁判所は(他の6の地裁高裁もそうでしたが)、「あ」の俗にいう統治行為論を排斥しました。特に最高裁は、触れもしないで一蹴しました。

「い」について、最高裁判所は、東京高等裁判所の判決を正しいものではないとして、法律上の争訟であると判断しました。

「う」についても、最高裁判所は、他の6の地裁高裁と同じく、法的義務であると判断しています。

唯一国の主張が受け入れられたのは、「え」の部分だけですが、冒頭のとおり、元々こちらも、お金目当てではありませんでしたので、どうということはありません。ほかに争う方法があるなら、今後は、国賠の方法をとる必要もありません。

 

なお、国は一貫して98日後の臨時国会召集決定は、合理的期間内であるから、合憲合法であるという主張をしませんでした。那覇地方裁判所では、裁判官から、そういう主張はしないのかという釈明がされ、国は持ち帰って検討しましたが、次の期日で、その主張はしないと明言し、最後まで(最高裁まで)一度もしませんでした。

裁判所で、合憲合法だと主張すらできない行為を政府がしていたこと、そして、裁判所ではそのような対応をとっておきながら、記者会見等では合理的期間内だと説明し続けた点は、誠に情けない話だと思っています。

 

第2 次のときの解決方法       

1 将来の流れ

わかりにくいと覆いますが、第1でいくつかでてきているように、裁判所では争えることと争えないこと、裁判所が判断できることとできないことがあります。

そして、法律の中には「訴訟法」というものがあり、どの訴訟法にもスパッとあてはまらない特殊な裁判をするときには、どうやって、その裁判を正当化するかという難しい問題があります。

 

憲法53条後段についても、内閣の義務が法的な義務であって、このような長期間の召集懈怠は許されないことは、憲法学説上、異論のないものでしたが、じゃあ、どうやって、裁判で争うのかという点がブラックボックスでしたし、裁判所では争う術はないのではないかという意見も多くありました。

 

しかし、今回の最高裁判決が示されたことで、次、内閣が同じようなことをした場合には、次の流れで是正されることが見込まれます。

 

A いづれかの議院の総議員の4分の1が臨時国会召集要求をする。

B 内閣が、速やかに召集決定をしないで、与党と相談してとか、審議する議案を検討して断すると、

これまでのように「のらりくらり」の応答をする。

C Aの召集要求に参加した国会議員(個人)が、東京地方裁判所に対し、行政事件訴訟法第4条に

基づき、公法上の義務確認訴訟として、内閣の臨時国会召集決定義務の確認訴訟を提起する。

D 裁判所は、間近い時期に通常国会or特別国会の予定があるか&天変地異や戦争が現に起きている

かのみを判断し、それがないのであれば、内閣に召集決定義務があると判断する(召集から20日とい

う目途の中で迅速判断がされる)。

 

なお、実際は、Cの訴訟提起が起こされると報道された時点で、臨時国会の召集決定がされるようになる、あるいは、訴訟が提起され裁判所が直ちに進行協議期日等が開かれ裁判所から「いつ召集決定するのですか」等詰められたことにより臨時国会の召集決定がされるようになり訴訟が取り下げられる、という流れになると思されます。

理由は次のとおりです。

 

2 法律上の争訟であるが確認の利益がないという意味

最高裁判所では、内閣の臨時国会召集義務の存否を争う裁判が、法律上の争訟であると判示されました。その上で、いま臨時国会召集要求がされていて内閣が懈怠しているわけでもないし、将来同じことが確実におきるわけではないから、いま裁判所で判断する意味、確認する利益がないという判断がされています。

これは、逆に言えば、現に臨時国会召集要求をして、内閣が懈怠しているときに裁判をすれば、確認の利益もあるということです。

そして、論理的に、確認の利益だけで排斥されたということは、今回の枠組み、すなわち、臨時国会召集要求に参加した国会議員個人が原告になるだけで足り、4分の1以上の国会議員全員が原告になるなどしなくても、原告適格が満たされることも今回の裁判ではっきりしました。

よって、上記1Cの裁判が、将来同じ問題が起きたときの解決方法が明確になり、ブラックボックスではなくなりました。

 

その上で、裁判の中身はというところについては、多数意見は何も示していませんが、恐らく将来それが起きたときに地方裁判所の裁判官が判断枠組みに迷うことがないよう、宇賀裁判官が、判断枠組みを丁寧に示してくれました。

 

ア 内閣が負う臨時国会召集決定義務は法的義務であること(異論がないと思われるという記載は、

他の4人の最高裁判事も同じ意見だった、という意味です)。

イ アについて、事務的に必要な最小限の期間内に召集する義務であることについて、「学説」でも

異論が「ない」こと。

ウ 例外は、間近に通常国会or特別国会の予定があるか&天変地異や戦争(単なる災害ではなく、

天変地異や戦争に限定されています)等に限られること。

エ 「ウ」の例外にあたらないなら、例えば、内閣が法律案提出の準備を理由として遅延させること

も許されないこと。

オ 「ウ」の例外に当たらないときの期間としては、「20日あれば十分」という考え方、20日以内に

召集する義務があると考えてよいこと。

 

そして、「ウ」の例外のケースに当たるかあたらないかは、誰の目にも明らかな公知の事実です。

よって、裁判所が、訴訟提起されるや否や、可及的速やかに、内閣に召集決定義務があると判断することは容易となり、しかも、20日という目途を反対意見ではあっても、最高裁判事が「20日あれば十分」という表現で示してくれましたので、裁判所としても、これは超特急で判断しなければならないと認識し、動いてくれるはずです。

 

3 20日以内の意味

確かに、20日という数字が示されたのは反対意見です。しかし、この意味はとても大きいと思っています。

数字は、独り歩きしやすいので、これまでの6つの地裁高裁も、期限を数字で、日数で示すことはしてきませんでした。控えてきた、という意味です。

そして、20が正しいか15が正しいか、それとも25なのかというのは、法解釈から導くことが、極めて難しいです。そのため、学説も幅を持った指摘しかされてきませんでした。数字を言い切り、そこに説得力を生じさせるには「権威」が必要です。

要するに、論理的に20が正しく15は間違っている、25は間違っていて20は正しいと言うことが難しい問題だから、えいやで、偉い人に決めてもらうことで、初めて説得力が出るわけです。

このように、地裁高裁判決も数字を示してこなかった状況下で、反対意見ではあっても、最高裁判事が「20日あれば十分」と、20と言い切ったのは極めて大きいです。これぞ、権威がなければできないこと、「最高裁判所」にやってほしいことでした(なお、3つの論拠が示されているのですが、これは、訴訟代人弁護士の主張がそのまま採用されたものです。)。

しかも、これぞ、権威がなければできないこと、最高裁にやってほしいことでした。

しかも、例えば「20日が目安」とか「20日程度」といった表現では25はどうだ?という議論が続きます。しかし、「20日あれば十分」という表現は25はもちろんダメと言い切れるので、表現方法としても素晴らしいと受け止めています。

 

よって、今後は、例えば10日だと主張することはできても、25だ30だと説得的に主張することは限りなく不可能になります。

今後は、政府内の検討の際も、報道の際も、そして、未来の裁判所も、誰もがこの20を意識した議論行動をとることになりますので、この意味で、宇賀裁判官が示した「20日あれば十分」という文言は、将来の様々な判断を、事実上拘束するのだと思います。

 

 

第3 政治に与える影響        

最高裁判所が、今回の判決を示したことで、現実世界の政治、すなわち、国会にも大きな影響が生じると考えています。

 

少し考えていただきたいのは、国会って、昔は会期が少しは延長されていたのに、最近、全然延長されてないよね、ということです。

通常国会の会期は150日ですが、最後に延長されたのでさえ平成30年、つまり6年前です。その前は、平成27年の安保国会のときです。平成24年に安倍政権が誕生した後、通常国会の会期が延長されたのは、実に、この2回しかなく、後はすべて、1日の延長もなくして国会は閉じられています。

なぜそんなビシッと、延長なしで閉じるのかと言えば、審議等が打ち切られているからです。当然、野党の側は、臨時国会召集要求をしてきましたが、与党総裁=総理大臣という状況下で、内閣はこれを無視し、国会は開かれない、結局、打ち切ったもの勝ちという状況になっていました。

 

しかし、今回の最高裁判決により、国会を強引に閉じたとしても、野党が臨時国会召集要求を出したら、速やかに臨時国会を招集しなければならなくなりました。つまり、強引に閉じても、得られる猶予期間は短く、次は臨時国会で、強引に閉じたことも含めて厳しい追及がされるということになりました。

与党の側に、国会を強引に閉じる「旨味」が減り、会期を延長しないという方法では追及を逃れることができないとなった以上、ある程度、野党が求める調査等を行うとしてその間会期を延長するなど、一定程度、野党の要望を踏まえた国会対応と会期の延長等がとられやすくなります。

また、時間稼ぎによる追及逃れができなくなった以上、ひたすら国会議員の質問にゼロ回答を繰り返すという方法では足りず、ある程度は質問に答え、最低限の野党の納得感を得られるように応答しない限り、国会が終わりにならないということを、政府与党は考えながら国会運営にあたるようになるはずです。

 

私はこの現象をオセロの角に例えています。オセロでは、角をとった方が強いので、相手に角をとられないようにします。そうすると、角の一つ外側のマス、その次は、さらに一つ外側のマスをどちらが取るか(相手に置かせるか)の攻防になるわけです。

今回の最高裁判決により、強引に国会を閉じたところで臨時国会を招集させられるから意味が乏しいことが示されたことにより、国会を閉じる前の与野党のやりとりや、それに先立つ国会審議の中身にも栄養が生じ、政府が質問に答える、はぐらかすだけではない国会に、少しずつ近づいていくのではないかと、そんな淡い期待を抱いています。

 

 

第4 責任は一定程度果たされた    

最高裁判決を批判する定型句として、司法が責任を放棄した、という文言があります。しかし、今回、最高裁判所は、ある程度ではありますが、責任を果たしたように思います。

法的義務であることをはっきり示し、次同じ問題が起きたときの解決方法も示し、20日という数字も説得的に示されたからです。

もちろん、国家賠償請求が満額認められた方がよかったですし、反対意見を書かれた宇賀裁判官が、こちらの請求を満額了解してくださったことは大変光栄ですが、上記の限度でも、裁判をした価値は十分にあったと思っています。

 

憲法53条後段は、憲政史上、ずーっと蔑ろにされてきました。宇賀裁判官が次のように、過去の内閣の対応を「これでもか」というほど批判したとおりです。

 

「記録によれば、憲法53条後段の規定による臨時国会召集要求のうち20日以内に召集されたのは40回中5回しかなく、かつ、過去3年間をみても、臨時国会召集決定は臨時国会召集要求から20日を大きく超えてから行われている。このような事態が生じているのは、臨時国会召集要求がされた場合、内閣として臨時国会で審議すべき事項等も勘案して、召集時期を決定する裁量があるという認識があるからと思われ、そうである以上、令和5年ないし令和6年に臨時国会召集要求がされて、20日以内に臨時国会が召集されない蓋然性は相当に高いと思われる。」(*1)

 

ぜひ、内閣にはこれまでの対応を猛省してもらい、しっかり今回の最高裁判決を受け止め、次臨時国会召集がされたときには、与党と協議とか、法案の検討などと言い訳するのではなく、事務的に必要な最小限の期間内に可及的速やかに臨時国会を召集してほしいと思います。

 

もしそうならないなら、直ちに、内閣の召集義務確認訴訟が提起されるだけですから。

 

 

 

最高裁判所令和5年9月12日憲法53条違憲国賠訴訟判決(PDF)

 

*1)参考までに衆議院における国会会期一覧のURLを以下貼り付けます。

衆議院_国会会期一覧

2023.08.10
コラム

この度の台風6号は、ゆっくりとした速度で沖縄本島地方を通過し、そのあと再び最接近し、長時間にわたって沖縄県各地に大きな被害をもたらしました。

この影響により、今尚スーパーの棚は空きスペースが目立ち、生活物資の不足など、県内各地で深刻な影響が続いております。

 

お怪我をされた方、被害に遭われた方におかれましては、お見舞いを申し上げます。

また、お亡くなりになられた方には心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

今回の台風被害を受けて、沖縄県34市町村に災害救助法の適用がされました。

これは1972年の本土復帰後、最大規模となるそうです。

 

「自宅が浸水してしまったけど、どうしたらいいの?」

「何から始めればいいの?」

など、台風の被害状況が明らかになるごとに、不安や疑問も積み重なっていくことと思われます。

まずは、お住まいの市町村のHPのご確認、もしくは市町村窓口に相談してみてください。

県内市町村のいくつかは、被害に遭われた方々へ、手続きの種類や申請方法の情報発信を始めています。

 

また、沖縄弁護士会においても、過去に自然災害に遭われた方への情報発信を行っております。

タイトルは“震災”とはなっていますが、今回の台風6号においても該当する制度等の情報が掲載されておりますので、ぜひご覧ください。

●沖縄弁護士会HP「震災関係Q&A」

https://okiben.org/information/%e9%9c%87%e7%81%bd%e9%96%a2%e4%bf%82qa/

 

さらに、当事務所弁護士小口のコラムも沖縄弁護士会のHPに掲載されております。

こちらも併せてご確認ください。

●沖縄弁護士会HP「被害者の救済 り災証明の認定必要」

https://okiben.org/column/1579/

 

 

<事務局>

2023.06.28
コラム

『参院の緊急集会 位置づけは』『緊急事態条項 変遷する議論』

【2023年6月27日 朝日新聞】

 

先日6月21日に閉会となった第211回通常国会中、衆議院・参議院ではそれぞれの憲法審査会が開催され、議論が展開されました。その中の1つ、総選挙が長期間実施できないような緊急事態が発生した際の国会対応についての憲法改正論議について、朝日新聞では特集ページが組まれ、その記事の中で、弁護士小口のコメントが掲載されましたので報告致します。

 

緊急事態条項をめぐる改憲の議論について、本特集記事では、過去に遡って、議論の変遷についての解説がされています。

 

・自由党憲法調査会が1954年にまとめた「日本国憲法改正案要綱」には、内閣の権限とし

 て「戦争及び非常事態の宣言」が盛り込まれ、「国会の閉会中、緊急事態に際して内閣は法

 律に代わるべき命令を出し得ることとする」と明記

・50年代から60年代にかけて開かれた内閣の憲法調査会でも議論になった

・東日本大震災翌年の12年に公表された自民党の憲法改正草案も、首相が緊急事態を宣言す

 れば、国会を通すことなく、内閣が法律と同じ効力を持つ緊急政令を作ることが出来るとい

 う内容

・この自民草案には、ワイマール憲法48条を想起させるという批判が強まった ~中略~ 48

 条が乱発され、ナチス独裁に道を開く大きな要因となったからだ。

・そうした中で17年頃から浮上したのが今議論になっている大規模災害時などの国会議員の

 任期延長論だ。~中略~ 緊急時の権力集中ではなく、任期延長は緊急時の国会による行政監

 視機能の維持のために必要だと、理由付けも変わった。

 

これに対し、弁護士小口は「自民党は行政監視機能の維持を掲げているが、肝心の臨時国会召集要求が内閣に無視されている問題を放置しており、矛盾している」と指摘します。

 

この記事を読んで衝撃だったことが、1954年、2012年いずれの草案についても、内閣が「緊急事態だ」と言えば、国会での審議を経ずして法律と同じパワーを持つ内閣命令が発布されてしまう、という内容が含まれていた事。法権力を集中させるような、ゾッとするような草案が、約50年余も主張され続けていたという事実です。

数十年にかけて議論が続けられると、その議論の目的や理由が変わっていくことは当然あったとしても、議論のスタートが権力集中を目的とするものだったとなると、現在の理由付けも「本当にそのため?」と思ってしまいます。そしてそう思うような状況(臨時国会召集を求める声を無視するなど)も現に起こっており、さらに疑問は強まります。

 

誰のための政治なのか?

誰のための改憲なのか?

このテーマの記事を読むと、毎回「???」が残るばかりです。

 

《事務局》

 

2022.10.17
コラム

当事務所の弁護士小口幸人が、東京新聞記者の望月衣塑子様の情報プログラムにラジオ出演(ポッドキャスト)しましたので、報告致します。

 

 

2022-09-28望月衣塑子「閉会中審査」JAM THE WORLD – UP CLOSE

https://music.amazon.co.jp/podcasts/8b57f1db-5114-443e-8ff9-eb4f6c35dc41/episodes/318a5f2a-4d67-4f4d-afcb-bca5027397b3/jam-the-world—up-close-2022-09-28-%E6%9C%9B%E6%9C%88%E8%A1%A3%E5%A1%91%E5%AD%90%E3%80%8C%E9%96%89%E4%BC%9A%E4%B8%AD%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E3%80%8D?ref=dm_sh_Ge37SHywTZRD9sNH79thEL1jP

※上記リンクをクリックしていただいて、リンク先の再生ボタンを押してただけると聞く事が出来ます。40分ほどの内容です。

 

 

憲法53条後段については、現在、東京・岡山・沖縄で起こっている裁判について、またその重要性についてなど、過去のコラム等で紹介してきましたが、今回のインタビューでは、国会と閉会中審査との違い、また臨時国会を求める声を無視することで起こる(起こっている)事象についてなど、さらに踏み込んだ内容になっております。

 

先日10月3日から臨時国会が開かれてはいるようですが、正直、その中身はあまり見えてきません。

そもそも、10月3日に召集された臨時国会は、問題となっている憲法53条後段に則って召集されたものではなく、参院選の前の7月にすでに内閣によって召集が決まっていました。つまりは、世論の国会開催を求める声に応えて開かれたものではなく、53条前段、イコール内閣の都合で開かれたものでしかありません。

よっては、憲法53条後段の「しなければならない」は、悲しいことに、2019年に東京・岡山・沖縄で裁判が起こり、それぞれの地方裁判所、高等裁判所で判決が下されている中でも、ここ数年間ずっと内閣に無視され続けている状況です。

 

通常国会が延長もされずに閉会となる。ただし、問題・課題は残されたまま。

解決に向けて国会議員数名が臨時国会の召集を求めるも、内閣はその声を無視して、解決したかのように強行突破で事を済ませていく。

 

こんな状況が続いていて言い訳はありません。

国会は、誰か一部の人のための都合で開かれた場ではなく、私たちの今とそして将来について、正しく議論される場であってほしいと切望します。

 

《事務局》

2022.09.12
コラム

今、憲法改正の本命に浮上している、緊急事態条項の「国会議員の任期延長」について、

youtubeの動画とインタビューを掲載いただきました。

 

東日本大震災から10年以上、被災者復興支援に携わってきた私ですが、その流れで2015年頃から何度も、憲法改正・緊急事態条項・国会議員任期延長をテーマに講演等に登壇してきました。

 

2022年の通常国会で憲法審査会が多数回開かれたことを受けて、先日は、日本弁護士連合会の憲法問題対策本部と災害復興支援委員会で、弁護士向けの講師も務めました。

 

報道関係の方も含め、広く市民のみなさまに知ってほしいこの憲法改正に関する件について、この度、動画とインタビュー記事が掲載されましたので、報告させていただきます。

 

ご覧いただくことはもちろん、勉強会の資料にしていただいたり、様々な集まり、イベント等で流していただいても構いません。広くご活用いただければ幸いです。

 

【YouTube】「徹底解説!『緊急事態条項』と『国会議員の任期延長』の問題について」

 

【特別インタビュー】「次にやってくる「改憲テーマ」はこれ!?「国会議員の任期延長」は本当に必要か」(2022年9月7日マガジン9)

【特別インタビュー】次にやってくる「改憲テーマ」はこれ!? 「国会議員の任期延長」は本当に必要か

2022.09.05
コラム

2022年8月30日に、東京の国会議員会館で記者会見を開いてきました。

 

同年8月18日に、憲法53条に基づく臨時国会召集要求がされたにもかかわらず、岸田内閣が憲法で義務づけられた召集決定をしないことを受けて、岸田内閣に対し、憲法が定めるとおり、臨時国会の召集を求める記者会見です。

 

憲法53条については、国会議員を原告とし、2017年の不召集・召集懈怠について賠償を求める裁判が起きています。岡山、東京、そして沖縄で裁判が提起されており、当職(弁護士小口)は沖縄弁護団の事務局長を務めています(原告は、赤嶺政賢衆議院議員、伊波洋一参議院議員、照屋寛徳前衆議院議員、糸数慶子元参議院議員です。)。

 

既に、那覇地裁・福岡高裁・東京地裁・東京高裁・岡山地裁・広島高裁の6つの判決(携わった裁判官は18人)が出ています(現在最高裁判所係属中)。憲法53条に関する判例は、この6つの判決以外には見当たらないので、恐らく誰よりも詳しい、この6つの裁判に携わってきた、岡山、東京、そして沖縄の弁護団が国会議員会館まで足を運び、6つの判決の内容、現在の到達点である裁判所の解釈を説明し、裁判所の解釈に基づけば、12日間も召集決定に必要な事務手続きに着手しないで放置している岸田内閣の対応は、現時点で憲法に違反していることを指摘し、速やかな臨時国会の召集を求めました。

(6つの判決の説明等、中心的な説明は当職(弁護士小口)の方で行ないました)

 

当日の模様は、沖縄でも沖縄タイムスが報じられるなどしています。

※内容が一番詳細な、弁護士ドットコムの記事を紹介させていただきます。

https://www.bengo4.com/c_1017/n_14929/

 

憲法は、主権者国民と国家、政府(内閣)との約束です。そして、国会は国民の代表者である国会議員で構成されている、国権の最高機関です。憲法により、国会の召集が義務づけられているのに、これを、日本政府(内閣)が怠っているという状況は、国会VS内閣であり、国民VS内閣であり、民主主義VS内閣という問題になります。

 

今後も、今年か来年には下るであろう最高裁判所の判決に力を注ぐとともに、憲法がまもられ臨時国会が召集されるよう、できる限りの努力をしていく所存です。

2022.08.31
コラム

平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

 

現在、台風11号が沖縄本島に接近していることに伴い、

8月31日午後の業務につきましては、臨時休業とさせていただきます。

なお、9月1日以降の業務につきましては、台風の進行状況を見て判断致します。

 

皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

 

<事務局>

2022.08.04
コラム

平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

夏季休業の休業期間につきまして、以下お知らせ致します。

 

【休業期間:2022年8月11日(木)~8月16日(火)】

 

関係者の皆さまにはご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

※ホームページからのお問い合わせにつきましても、

業務開始の8月17日(水)以降、順次返答させていただきます。

 

<事務局>

2022.06.15
コラム

平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

 

南山法律事務所では、6月23日(木)は慰霊の日のためお休みとさせていただきます。

 

関係者の皆さまにおかれましては、ご迷惑をお掛け致しますが、

何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

 

<事務局>

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