南山法律事務所
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コラム
2016.07.31
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沖縄で最も多い犯罪が、飲酒運転(酒気帯び運転)です。当事務所でも、刑事事件で最も多く扱っているのが飲酒運転です(民事事件では、件数でいくと浮気や離婚事件が多いです)。

 

飲酒運転のほとんどは、飲酒運転したこと自体を認めている「自白事件」ですが、たまに自分では認識がないまま飲酒運転をしてしまい検挙されてしまうことがあります(否認事件)。典型例は、二日酔いの認識がないまま運転したところ、朝の通勤中に検挙されてしまうパターンです。

 

先日、無罪判決を扱った勉強会で、この類型の否認事件で無罪になった珍しいケースの報告がありました。

その中で、被告人の遺伝子型検査をすることで、被告人が体内のアルコールを自覚しにくい体質であることを示した事件の報告がありましたので、試しにそこで紹介された遺伝子検査キットを購入して、自分の体質を検査してみました。全ては否認事件の依頼をいただいたときのための準備です。

 

そこで報告されていたのは、

GENOTYPIST アルコール感受性遺伝子分析キット(口腔粘膜用)

という1万円以下の検査キットでした。

 

この検査キットは、口の粘膜を綿棒でとって郵送するだけで、自分のアルコール感受性遺伝子のタイプを知ることができる、というものです。

 

アルコール感受性遺伝子としては、「ADH1B」と「ALDH2」の2つの型があると言われています。

この2つの遺伝子からわかる「ADH」と「ALDH」という2つの酵素は、以下のようにお酒の分解に関係しています。

 

お酒の主成分はエタノールです。エタノールは肝臓でアルコール脱水酵素(ADH)により分解されてアセトアルデヒドという毒性物質になります。

このアセトアルデヒドを分解するのがアセトアルデヒド脱水酵素(ALDH)です。アセトアルデヒドはALDHにより分解され酢酸になります。酢酸は最終的に二酸化炭素と水に分解されて体外に放出されます。

 

アルコール脱水酵素(ADH)の活性が低いとアルコールが体内に溜まるので、すぐにほろ酔い気分になります。他方、ADHの活性が高いとドンドンアルコールを分解するので、飲んでもなかなか酔っ払いません。

エタノールが分解されてできるアセトアルデヒドは毒性物質です。これが体内に残ったままだと、顔が赤くなったり気持ち悪くなったりします。アセトアルデヒドの分解酵素(ALDH)の活性が高い場合、お酒を飲んでも顔が赤くならなかったり、気持ち悪くならなかったりします(あくまでも傾向ですが)。

 

簡単に言うと、ADHの活性が低いほど、アルコールの分解が遅くすぐに酔える。ALDHの活性が低かったり非活性だと、毒素が体に長時間残るので身体への影響を受けやすく二日酔いにもなりやすいということです。ALDHが非活性な方=下戸(ゲコ)な方です(無理にお酒を飲ませてはいけません)。

 

飲酒運転との関係では、アルコールの脱水酵素(ADH)の活性が高いと、アルコールをドンドン分解し血中アルコール濃度を下げていくのですが、ADHの活性が低いと体内のアルコールがなかなか分解されないので、時間が経っても血中アルコール濃度が下がりくい傾向にあると言えそう。つまりADHの活性が低い人ほど飲酒と運転の間に時間を空ける必要があるということです(他に肝臓自体の機能が低下していると分解が遅い傾向にあります)。

 

特に注意が必要なのは、ADHの活性が低くアルコールが体内に残りやすいのにアルコールを飲める人(ALDHの活性が高い人)です。

このタイプの方は、すぐに酔えてしかもアセトアルデヒドを分解できるので、お酒を飲むのが一番楽しいタイプと言うことができそうです。このキットでも「依存症リスクが最も高い大酒飲みタイプ」とされていました。飲酒運転との関係では、アルコール血中濃度が下がりにくいのに、毒素であるアセトアルデヒドは身体の中に残りにくいので、例えば二日酔いを自覚しにくい傾向にあります。

 

そこまで高額ではないキットで自分のタイプを知ることができますので、まずは、自分の体質を知ってみるのもいいかもしれません。

 

ちなみに私の検査結果はというと………、ADH1Bは高活性型、ALDH2は活性型でした。
つまり、アルコール分解速度が速いので顔が赤くならずなかなか酔えない体質で、なおかつアセトアルデヒドを分解する能力も非常に高い体質でした。ようするに、お酒を飲んでもなかなか酔っ払わないし、たくさんお酒を飲んでも分解できるタイプです。言われてみると確かにそうかもしれません。

最近二日酔いがつらいなぁ、と最近思っていたのですが、それは単なる飲み過ぎで、あとは年齢によるものだ、ということを科学的に突きつけられてしまいました(汗)。

 

検査結果とともに、「つい飲み過ぎてしまう大酒飲みタイプ」だから気をつけましょう、というコメントが入っていましたので、少しだけ気をつけてみようと思います。

 

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2016.07.25
コラム

 

2016年7月20日に、琉球新報と沖縄タイムスの両方で、

識者談話として弁護士小口幸人のコメントが取り上げられました。

 

両紙に同時に、というのは、恐らく今後もないことだと思いますので(笑)、紹介させて頂きます。なお、誠に恐縮ですが、同日の琉球新報の社説でも取り上げていただいております。内容は、このコラムでも扱った、道路封鎖や検問の件です。

 

また、同日夕方には、沖縄県庁の記者クラブにおいて、

高江住民側弁護団として、沖縄県、沖縄県警本部、名護警察を相手に緊急提訴した、県道封鎖禁止の仮処分と検問禁止仮処分について、記者会見をさせていただきました。夕方のテレビに流れていたので、ご覧いただいた方もいらっしゃるかもしれません。

 

弁護士の仕事には、市民と市民、市民と企業、企業と企業の間で起きる紛争に関するものと、

※例えば離婚、賃貸借、交通事故などなど

市民と地方自治対、市民と国の間で起きる紛争に関するものがあります。

※例えば刑事事件や基地訴訟など

 

当事務所は、上記のどちらにも力を注いでおりますので、小さな身近なことからそうでないことまで、

まずはお気軽にご相談いただければ幸いです。

 

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2016.07.25
コラム

 

少し経ってしまいましたが、東京の波戸岡光太弁護士から、開所祝いのお花をいただきました。波戸岡先生、改めてありがとうございます。

 

波戸岡先生は、東京の原発事故避難者支援弁護団でご一緒させていただいた、一つ先輩の弁護士です。

とても熱い想いを持ちながら、スマートに考え、スマートに話される先生です。

 

法テラス函館法律事務所での勤務経験もお持ちで、
市民の方が弁護士に気軽にアクセスできる環境を整えるために汗を流した、という共通点もあります。

※法テラスは国の機関、ひまわり基金法律事務所は日弁連の支援ですが、どちらもリーガルアクセス改善という共通目標を持った形態です。

 

沖縄への登録替えの際、ちゃんと挨拶できなかったにもかかわらずお花をいただき恐縮です。

遠方からですが、弁護団で引き続き頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 

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2016.07.23
コラム

 

東村高江で違法な検問が行われているので、検問での免許証提示義務について解説したいと思います。

まず、直接の根拠は、道路交通法95条2項と、67条1項です。

 

道路交通法95条2項

免許を受けた者は、自動車等を運転している場合において、警察官から第六十七条第一項又は第二項の規定による免許証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

 

道路交通法67条1項

警察官は、車両等の運転者が第六十四条第一項、第六十五条第一項、第六十六条、第七十一条の四第三項から第六項まで又は第八十五条第五項若しくは第六項の規定に違反して車両等を運転していると認めるときは、当該車両等を停止させ、及び当該車両等の運転者に対し、第九十二条第一項の運転免許証又は第百七条の二の国際運転免許証若しくは外国運転免許証の提示を求めることができる。

※67条2項は、実際に交通違反や事故をしたときの定めなので関係ありません。

 

上記の、64条、65条、66条、71条の4、85条に「違反して運転していると警察官が認めたとき」だけ、

「当該車両等を停止」させることができ、免許証の提示を求めることができ、このときだけ運転者には免許証の提示義務が発生します。

 

64条は無免許運転、65条は飲酒運転、66条は過労運転です。

※71条の4はバイクの場合、85条は大型・中型自動車の場合だけの条文です。

 

したがって、下手な運転をしていたわけでもなく(無免許)、

フラフラ運転していたわけでもない(飲酒・過労)のであれば、

「当該車両等を停止」することはできないし、免許証の提示を求めることもできません。

心当たりがないのに、車を止められたり、免許証の提示を求められたら、抗議すべきですし、免許証を提示する義務はありません。

 

「なんで見せないんだ?」と言われたら「法律に反する運転はしていないし、そう認められるような運転もしていませんから、私に免許証提示義務はないはずです。警察官の違法な行為には従いません」と言って下さい。

※面倒くさかったら、免許証を提示して無免許運転の疑いを払拭し、「お酒飲んでないし疲れてません。お疲れさまでした!!」と言って終える方法もあります。

 

※どこまでいっても、免許証については「提示」義務までしかありません。渡す必要はないし、違反していないならメモされる理由もありません。

 

ちなみに今日の私は、

警察官「検問です」

小口「目的は何ですか?」

警察官「この先、工事しているのでその注意喚起です」

小口「高江に来ている人は全員知っていると思いますが…。私は知っています。ありがとうございました。じゃあっ」

警察官「免許証を見せて下さい」

小口「根拠は?」

警察官「道路交通法95条です」

小口「95条のどれ?」

警察官「どれと言われても…、家に帰って調べて下さい」

小口「いや。何の違反の疑いをかけられたのか知りたいんですが」

警察官「言えません」

小口「言ってくれないなら、提示を求めること自体違法ですから、違法な行為には従えません」

警察官「じゃあ結構です。行って下さい」

で免許証を提示することなく通してもらいました。

 

もし、すんなりいかなかったら、スマホの録音ボタンを押して、同じことをやるとすんなりいくと思います。

警察官も、違法なことをわかってやっているでしょうから。

 

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2016.07.19
コラム

 

本日(7月19日)の琉球新報で、弁護士小口幸人のコメントが引用されました。

限られたスペースであるため、やや正確性が劣後している形になっていましたので、少し補足説明させていただきます(限られたスペースの中ではうまく表現して頂いたと感謝しています)。

 

1 自動車について(上の写真「警告」という張り紙の方)

テント横の車両に、名護警察署長名で、道路交通法76条3項に違反するので移動してください、という張り紙が貼られていました。

道路交通法76条3項とは、次の定めです。

「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」

 

ここで感じた疑問は2つあります。
1つは、「交通の妨害となるような方法」と言えるかどうかです。

まず、目の前の県道には、この車両は全くはみ出ておらす、県道の通行には何らの支障もでていません。県道から山に入っていく里道(舗装されておらず急斜面で場所によっては道路幅2メートルもない)には若干かかっているものの、そもそもこの里道は門で閉鎖されており、いま人や車が通れる状態ではありません。さらに、記者に寄れば通れない状態が2年ほど続いているそうです。そうするとこの車両が、交通の妨害をしているかというと疑問が残ります。

なお、昭和37年4月30日の古い判例ですが、大垣簡易裁判所は、幅7メートルの県道のうち、2.6メートル部分を占拠する形でおかれたロードローラの件について無罪を言い渡しています。

 

2つめは、仮に「交通の妨害となるような方法」だったとして、勝手に撤去できるか、ということです。

76条3項に違反する者に、必要な措置を命じることができるという条文が、81条2項にあるのですが、81条3項には次の定めがあります。

「警察署長は、前項(81条2項)第一号、第二号又は第三号に掲げる者の氏名及び住所を知ることができないため、これらの者に対し、前項の規定による措置をとることを命ずることができないときは、自ら当該措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、警察署長は、当該工作物等を保管しなければならない。」

 

この前項第ニ号が、76条3項違反の場合なのですが、つまりこの定めは、物件を置いた者が誰だかわからないときは「自ら当該措置」をとることができる、つまりどかすことができる、と定めています。逆に言うと、この定めがある以上、「氏名及び住所」を知ることができるときは、命じることができるだけであって、自らどけることはできない、ように読めます。

(氏名及び住所がわかる場合は命じる。わからない場合はどけてよい、という定めに見えます。)

 

報道では、レッカー車が用意されているように報じられていますが、以上のとおり、法律上は警察署長が勝手に撤去できるのか、疑問が残ります。

 

2 テント等について(下の写真「要請」という張り紙の方)

上記車両のさらに隣にテントが置いてあります。こちらについては、さらに謎が多いです。

まず、この道路は県道で、テントの置いてあるところは道路の路側帯だと思われますので、管理者は道理管理者である沖縄県だと思われます。平成28年6月下旬か7月の初めに、沖縄県が文書で撤去の指導をしていた事実も、このことを裏付けています。

今回、テントの撤去を求める要請書を、沖縄防衛局、外務省、海兵隊が貼っているのですが、沖縄県ではない三者が、どういう理由で要請しているのかがまず謎です。同時に、書面では7月19日を経過しても放置されていた場合は、所有権が放棄されたものとみなします、と書かれているのですが、これまたどういった立場で、どういう根拠でこのようなことを告げているのかも謎です。

そもそも、いくら「みなします」と言ったからといって、その法律効果が生じるわけではありません。実際問題、客観的に見る限り、このテントの所有権が放棄されている、ということはないでしょう。

 

さらに、要請書には、「米軍や工事用車両等の通行を妨げています」とありますが、テントは上記車両よりさらに脇によっており、客観的に見る限り、何らの通行も妨げていないように思われます。

 

いずれにしても、道路管理者である沖縄県が、書面注意を近い時点で行っており、その推移を見守っている段階で、沖縄県以外の者が、これを撤去したりすることは許されないでしょう。

 

 

なお、これは普段の法律相談でもあるのですが、変な物を放置されたら、勝手にどかして良いのか、という一般的な問題があります。例えば自宅の庭に壊れた自転車などを放置された場合などが典型例です。この場合、正直窮屈なのですが、勝手にどかしてはならないと言われています。所有権等に基づいて、妨害排除といってどかしてもらう権利があったとしても、その権利を行使するときは裁判所を通さなければなりません。

これを「自力救済」の禁止といって、法社会秩序を保つための考え方です。

 

例えば、AさんがBさんに40万円を貸していたとします。期限になってもBさんがお金を返さなかったとしても、Bさんの財布から勝手にお金をとれば、それは窃盗罪です。もちろん、AさんがBさんに40万円を返せと裁判外で請求することはできますが、Bさんが払わない以上裁判を提起して、判決をとって、差押え等をしなければならず、そこにBさんの財布があっても勝手にとってはいけない、ということです。

少し想像していただければわかりますが、自力救済を認めた場合、社会の秩序は著しく乱れてしまいます。

よって、上記の自転車を放置された場合でも、勝手にどけてはいけないし、まして、「所有権が放棄されたとみなした」と豪語して廃棄してはいけません。それをすれば「器物損壊」で逮捕されることもあるでしょう。

 

以上のとおりですので、正直私が調べた限りでは、沖縄防衛局や外務省や海兵隊が、裁判等の手続をとらずに、勝手にテントを撤去する権利はないように思いますし、もし勝手にやったら、その態様によっては器物損壊罪にあたることもあるでしょう。

 

如何にそこに大義名分があったとしても、とるべき手続を踏まない限り権利は行使できないし、手続きを飛ばして行使すれば違法になることがあるということです。

 

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2016.07.19
コラム

 

弁護士には使命があります。法律で定められていまして、「基本的人権の擁護と社会正義の実現」が弁護士の使命です。

琉球新報や沖縄タイムスで広く報じられているように、
現在東村高江で、ヘリパッド建設に反対する住民と、工事を強行しようとする国の間で紛争が起きています。

 

それぞれに立場と主張のある中ではありますが、だからといって、警察が違法な行為をしてよい、ということにはなりません。警察が違法なことまで行い、基本的人権が侵害されそうになっているときは、弁護士はその使命に基づき、人権の側に立ちます。

 

さて、明日の新聞で報じられると思いますが、本日高江近くの新川ダムで、

違法な検問が実施されたようです。

前提となる地理関係を説明しますと、まず、反対している住民の方が座込みをしている場所は県道沿いですが、周辺に建物らしい建物はありません。数㎞走らないと店舗もないので、例えばトイレが近くにありません。最も近くにあるトイレは、新川ダム駐車場の公衆用トイレですが、その周辺も、少しの広場とキャンプファイヤーの施設らしきものがあるだけです。到底、交通違反が多発しているとか、交通事故が多発している、といった場所ではないところです。

 

さて、自動車検問については、3つの類型があると言われています。

1 緊急配備活動としての検問

2 交通検問

3 いわゆる一斉検問

の3つです。

 

1 緊急配備活動としての検問

犯罪が発生して、車で逃走したという通報があったような場合に行われる検問です。刑事ドラマで出てくる「緊急配備を引け!」というアレです。

根拠は警察官職務執行法という法律の2条1項です。一般の職務質問と同じ根拠規定で、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」に対して行うことができます。

今回の件は、通る車を全て止めており、近くで犯罪が発生して車で犯人が逃走した場合でもないので、高江の件にはあてはまりません。

 

2 交通検問

交通違反の予防・検挙のために行われ、整備不良者と認められる場合(道交法63条)や危険防止に必要な場合(道交法61条)に車等を止めるな検問です。

ただでさえ車通りが少なく、交通違反も交通事故もまず起きていそうもない県道や、新川ダムに向かう小道で行う検問にあてはまる類型ではありません。

 

3 いわゆる一斉検問

通る車全てを止めるいわゆる一斉検問です。道路交通法違反も含めた犯罪一般の予防・検挙のために行われるもので、その方法によって適法と違法が別れます。警察側は、警察法2条1項や警職法2条1項を理由にすることもありますが、最高裁判所は、直ちにそれらの条文から、どんな一斉検問でも許される、という風には解していません。判例を引用してみます。

 

最高裁決定昭和55年9月22日
「所論にかんがみ職権によつて本件自動車検問の適否について判断する。警察法二条一項が「交通の取締」を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきものであるが、それが国民の権利、自由の干渉にわたるおそれのある事項にかかわる場合には、任意手段によるからといつて無制限に許されるべきものでないことも同条二項及び警察官職務執行法一条などの趣旨にかんがみ明らかである。しかしながら、自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること、その他現時における交通違反、交通事故の状況などをも考慮すると、警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである。原判決の是認する第一審判決の認定事実によると、本件自動車検問は、右に述べた範囲を越えない方法と態様によつて実施されており、これを適法であるとした原判断は正当である。」

 

要するに、まず一斉検問は、「任意手段によるからといつて無制限に許されるべきもの」ではありません。運転する車を止めるそれ自体が、国民の側に一定の不利益を生じさせるからです。

 

許されるのは、次の限度だけです。

「警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである。」

 

今回の場合、その実施している場所がそもそも「交通違反の多発する地域等の適当な場所」ではありませんので、この時点で適法とは言い難いものです。

さらに、新川ダムの公衆用トイレは、憲法に定められた表現の自由や自然権である抵抗権の行使をしている住民に広く利用されている一方、他の利用者は皆無という状況ですから(あとは防衛局職員のみ)、ここで行う一斉検問は、表現の自由に過度の萎縮効果を与える恐れの高い行為ですから、特に適法とする根拠がない以上、違法と解するほかないでしょう。
むしろ、このタイミング、この場所で行っている検問は、客観的事情からして表現の自由や抵抗権の行使を萎縮させるとともに、その行使者が誰であるかに関する情報を収集するという、違法な目的で行われている、と見るのが自然でしょう。

 

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2016.07.17
過去取扱い事件

 

このたび、勾留4日目で釈放され、その後無事不起訴になるという成果を獲得しましたので、報告させていただきます。

 

刑事事件では、逮捕されると、ほとんどのケースで数日後に「勾留」されてしまいます。

一度勾留されてしまうと、ほとんどの場合10日間、外に出ることができません。また、ほとんどのケースでは、さらに10日間勾留が延長されてしまうので、結果として20日間以上も身体を拘束されてしまいます。

 

今回の事件は傷害事件で、勾留された段階で、被疑者国選弁護人という形で仕事に就きました。

※被疑者国選というのは、勾留された人に対し、裁判所が弁護士を弁護人としてつける制度です。

 

就任後すぐに被疑者に会い、当日のうちに被害者の方にも接触、

裁判所に釈放を求める「準抗告」という手続をするとともに、被害者の心情等を担当検事に伝え釈放を求め続けたことで、

無事、勾留4日目に釈放させることに成功しました。その後、無事事件自体も不起訴になっています。

 

もちろん、こういった成果が全ての事件で得られるわけではありませんが、

特に刑事弁護については、弁護士の初動が重要になります。

もし、ご親族や友人の方が逮捕されてしまったときには、すぐにご相談ご依頼いただければ幸いです。

 

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2016.07.17
コラム

 

少し時間が経ってしまいましたが、津久井進弁護士が所属する、弁護士法人芦屋西宮市民法律事務所から、開所祝いのお花をいただきました。

 

津久井進弁護士は、被災者支援に取り組む第一線の弁護士です。現在は、日本弁護士連合会の災害復興支援委員会委員長を務められています。

 

津久井先生のことは、当時私がいた岩手県宮古市が東日本大震災に被災するまでは全く存じ上げなかったのですが、震災発生後、遠く兵庫県から、継続的にご支援、ご指導いただきました。津久井先生がいなければ、私の被災者支援活動は、全く異なったものになっていたでしょうし、その後5年間にもわたって被災者支援に取り組むこともなかったと思います。

 

実は、沖縄に開所した後も、毎月沖縄から東京に足を運び、災害復興支援に関する取り組みを続けるとともに、4月に発生した熊本地震の被災者支援にも、本当にわずかばかりですが取り組ませて頂いております。こうした活動を続けられるのも、先輩である津久井先生が、精力的に被災者支援に携わられていて、その後ろ姿が私の刺激になっているからです。

 

今後も、細々とではありますが被災者支援活動を続けていこうと思っていますので、

引き続きご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

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2016.07.08
コラム

 

今日(2016年7月8日)の沖縄タイムス

「揺らぐ憲法」第2部くらしの中での最終話「識者の視点」に、弁護士小口幸人のコメントを掲載いただきました。そこで伝えきれなかった点を、少しお伝えさせて頂きます。

 

・日本国憲法は、憲法改正に、衆議院と参議院、両方について2/3以上の賛成を必要としています。

参議院議員の任期は6年の半数改選ですから、最低でも参議院議員選挙2回、衆議院議員選挙1回の合計3回、6年間もの間、憲法を変えるべきだと国民が判断し続けたときに、初めて憲法改正の発議がされるという制度になっています。

この点を指して、日本国憲法は「硬性憲法」、かたい憲法だと言われています。

かたくなっている理由は、民主主義はときに流されやすく誤ることがあるからです。一時の盛り上がりで、安易に憲法が変えられないようになっています。

 

・安倍首相は在任中の憲法改正を明言していますから、週末の選挙の結果によっては、記事にもあるように、

来年の通常国会で憲法改正の発議、再来年に国民投票が行われる可能性が高いです。

(国会の発議と国民投票の間には、60日から180日の周知期間が必要だとされています)

 

・以上の2点を合わせていただければ、今回の参議院議員選挙において「憲法で何をどう変えるのか」が具体的に示されることなく、憲法改正の発議がされそうになっている今の状態が、いかに残念な状態であるかがおわかりいただけると思います。せっかくかたい制度になっているのに、憲法が国民投票という一時点の盛り上がりだけで改正がされそうになっているからです。

 

・もう一つ残念なのは、今週末の選挙結果で改憲勢力が2/3の議席を占めた場合、秋の臨時国会も、来年の通常国会も、国会審議は憲法改正一色になる可能性があるということです。

去年の安保法案の国会のようにです。

 

昨年の通常国会では、安保法案に多くの時間が割かれ揉めた結果、他の法律は後回しになり多くの法律は廃案になりました。さらに臨時国会は召集さえされませんでした。

今年はというと、参議院議員選挙が予定されていたため、通常国会は6月1日に閉じてしまいました。

 

その結果、国会で話し合っていただきたいテーマが、たくさん残ったままになっています。

秋の臨時国会と来年の通常国会では、溜まったものを一気にやっていただきたいのですが、憲法改正一色になってしまいそうだ、ということです。

例えば、法律業界では「民法改正」という大テーマがあるのですが、改憲勢力が2/3をしめた場合、先送りされてしまうでしょう。

憲法改正への賛否を別に置くとしても、そこまで優先順位は高いのかという疑問を感じます。

 

・私は脱サラして、ロースクールに通ったことで憲法を読み直す機会を得ました。学生の頃不勉強だった私は、大人になってから、日本国憲法の凄さを知りました。弁護士に日本国憲法好きが多いのは、読み直して素晴らしさを知ったからだと思います。他の法律と比べても、日本国憲法は理念としても精緻さとしても、日本語としての美しさとしても、よくできていると感じます。

 

・70年前戦争に負けて憲法は突然変わりました。臣民から国民に、家父長制から男女平等に、表現も自由にできるようになりました。憲法が突然変わっても社会は突然変わらないので、最初は違和感たっぷりだったはずです。例えば、男女平等はまだ社会の現実と整合してないですよね。
・例えていうなら、70年前に変わった、憲法という洋服は、一人ひとり違うことを尊重するという寛容を旨とする大人な柄でした。最初は似合わなかったはずです。

 

・70年経ってその洋服は古臭くなったのか、それとも身体が成長してようやく洋服がシックリ似合うようになったのか、まずは憲法を読んで確認する必要があると思います。もし70年も時代遅れにならない素敵な服を着ていたとしたら、気づかずに捨ててしまうのは余りにもったいないと思います。そして、私は、今すぐ慌てて憲法を改正する必要はないと感じています。

 

・SMAPの「世界で一つだけの花」という名曲があります。「一人一人違ってよい」「ナンバー1ではなく、特別なonly one」だという曲です。

私はあの歌は、戦後直後とか、高度経済成長期だったらあそこまで大ヒットしなかったと感じています。戦後70年経って、一人ひとり違うことを尊重できる社会になってきた、ようやく「日本国憲法」という服が似合う大人になってきたからこそ、みんなの共感を呼び大ヒットしたのだと思います。

 

・70年経ったから時代遅れになった、そう思いがちですが、そうとは限らないこともあるはずです。まずは読んでみて確認しましょう。

 

 

※日本国憲法の代表的な条文をいくつか貼り付けておきます。

送り仮名は確かに時代を感じさせますが、肝心の中身はどうですか?

 

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 

第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 

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2016.07.06
コラム

 

少し時間が経ってしまいましたが、渡辺淑彦弁護士と松本三加弁護士(浜通り法律事務所)から、開所祝いをいただきました。

入口入ってすぐのスペースに飾らせていただきました。

 

浜通り法律事務所は、東日本大震災前から、福島県いわき市にある事務所です。

 

松本三加弁護士は、私と同じ桜丘法律事務所出身の弁護士で、北海道の紋別ひまわり基金法律事務所の初代所長、

渡辺淑彦弁護士は、福島県の相馬ひまわり基金法律事務所の二代目所長の弁護士です。

 

弁護士の少ない地域でお困りの方のために尽くす公設事務所をひまわり基金法律事務所、と言いますが、

お二人は、同じひまわり基金弁護士の大先輩です。

 

東日本大震災発生当時、ともに被災地にいた弁護士、という繋がりもあり、

色々な面でご指導いただき、常に刺激を頂いています。

 

福島と沖縄、少し離れてしまいましたが、今後も縁を繋げさせて頂き、

少しでも、お二人のような存在に近づけるよう、頑張っていこうと思います。

ぜひ息抜きに、沖縄にでも足を運んで頂ければ幸いです。

 

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