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コラム
2017.03.28
お知らせ

当事務所弁護士小口幸人が新聞に掲載されました。

【2017年(平成29年)3月12日(日) 東京新聞 26・27面】

 

東日本大震災から6年を迎え、『被災地と沖縄から見つめるニッポン』という観点から、原発・米軍基地・共謀罪などについて触れています。

弁護士活動をしていた岩手県宮古市で東日本大震災に遇い、今も支援活動を続けながら、沖縄県内の問題に積極的に取り組む当弁護士だからこその視点で記載された内容となっています。

 

ところで、数日前深夜に地震がありましたね…

本島は震度3だったようで、真夜中の揺れに驚き、小さい我が子を咄嗟に抱きかかえました。

皆さんは、防災グッズなどいざという時の避難準備をされていますか?家族との集合場所など決めていますか?

最近、沖縄も地震が多くなってきている気がします。

備えあれば憂い無しですね、我が家も集合場所の再確認と備蓄品の点検をしてみようと思います。

 

 

「被災地と沖縄から見つめるニッポン  支援続ける小口弁護士」

東京新聞 2017年3月12日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017031202000186.html

 

《事務局》

2017.03.27
過去取扱い事件

ご依頼いただいた事件について、珍しい成果を獲得できましたので報告させていただきます。

刑事事件で、飲酒運転です。飲酒運転で逮捕された場合、仮にそれが間違いであったとしても疑いを晴らすことは困難ですが、この事件では10日間身体拘束を受けただけで無事釈放となり、不起訴となりました。

 

【事件の概要】

自宅から少し離れたところにバイクを置き、そのまま飲みに行った帰り、翌日のことを考えバイクを押して帰っていたところ警察に呼び止められ、飲酒運転として逮捕されたという事案です。確かにバイクを押して帰る前にお酒は飲んでいましたが、運転はしていないので飲酒運転にはたらないのですが、警察は何を勘違いしたのか職務質問を行い、飲酒検査を行い逮捕しました。

(※バイクを押して歩くにはロックを解除する必要があり、そのためにカギを挿入します。これにより電気系統が転倒するので、恐らくブレーキランプの点灯状況などをみて「運転していた」と誤解したのだと想像しています。)

 

こういった場合、もっとも大事なことは、いち早く弁護士を呼ぶことです。

仮に裁判にまでなった場合、次の証拠でうっかり有罪の判決が下される恐れがあるからです。

・飲酒検査の結果

・運転しているのを現認したという内容の捜査報告書

 

仮に厳しい取調べに堪えかね、あるいは「罪を認めたら釈放される可能性があがる」と言われ事実と異なる調書に署名してしまうと、裁判になることは避けられなくなり、また有罪の判決が下る可能性がかなり高くなってしまいます。

 

【事件受任後の活動】

ご依頼いただいてすぐ現場に駆けつけ、現場の状況を確認。確かに「押して帰っていた」という言い分にあった状況であることを確認に検事に申し入れ。更に当日飲んでいた人から話を聞き検事に報告等したことで、検察官も疑念を抱いたようで、無事釈放され不起訴となりました。

 

捕まったらすぐに弁護士を呼ぶ、これがとても大事であることを知っていただけたら幸いです。

 

2017.03.25
コラム

籠池氏を証人喚問した以上、真実が明らかになるまで、関係者を次々証人喚問すべきだと思います。しないのであれば、それは法的にも余りに不公平不相当です。その理由は、籠池の証人喚問は以下のとおりであったからです。

 

1 既に刑事訴追される具体的な恐れがあった籠池氏に対して行われた

2 今回の件に関わる人物の中で、最も私人であること

3 関係者の中で「最初」の証人喚問であったこと

4 「総理を侮辱した」という理由での招致であったこと

 

以下詳述します。

 

A 証人喚問ってどんな制度なのか?刑事訴追との関係は?

証人喚問とは、

「議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律」

に定められた制度です。その要件としては、「各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、証人として出頭…を求められたときは、」とししか定められていません。国権の最高機関である国会に幅広い裁量を与えているのだと思います。

 

ポイントは、刑事裁判と違い、誰かの行為が罪に当たるか否か、違法であるか否かを明らかにする制度ではないということです。

安倍総理大臣は、「不正や刑事罰に関わることをやっていないのに証人喚問に出ろというのはおかしな話だ」とおっしゃられていますが、法律家から見ると、恐縮ながら総理の理由付けには根拠がないと言うしかありません。

 

他方、証人喚問といえど、上記のように法律に基づく制度なので、憲法への配慮が必要です。

日本国憲法38条は、次のように定めています。俗に言う黙秘権の定めです。

「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」

 

この憲法に抵触しないよう、「議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律」は、刑事訴追の恐れのある事項については証言拒否ができるようになっています。籠池氏が「刑事訴追の恐れがあるので証言を拒否します」としたのは、憲法に根拠のある法律上の権利を行使した行為です。

※なお、黙秘権を実質的に保障するため、黙秘したことをもって不利益に評価してはならないと解されています。よって、籠池氏の上記証言拒否をもって不利に評価してはなりません。この点は少し注意が必要です。

 

したがって、誰かを証人喚問するかしないかを判断するときに、その人が刑事訴追を受ける恐れがあるか否かは注意する必要があります。刑事訴追の恐れのある方は、必要性が特に高い場合にのみ喚問するというのが、人権を尊重した姿勢ということができます。

 

今回の証人喚問は、助成金詐欺という「刑事訴追される具体的な恐れがある」籠池氏に対して行われたわけですから、特に調査する必要が高かったいうことになります。そうである以上、この件について、刑事訴追される具体的な恐れが「ない人」の喚問は躊躇することなく行われるべきですし、「背任罪」等に問われる恐れがあったとしても、必要性が高いのですから、躊躇することなく行われるべきしょう。

例えば、安倍総理が籠池氏に100万円献金していたとしても違法ではない、という話がされます。そのとおりですが、そうである以上、証人喚問を行うハードルは低く必要性が低い場合でも実施されて問題ないということになります。安倍総理の「不正や刑事罰に関わることをやっていないのに証人喚問に出ろというのはおかしな話だ」という発言は、恐縮ですが全く逆ということになるでしょう。

 

 

B 関係者の中で最も私人であったこと

公人か私人かという議論が流行っているようですが、マスコミが盗撮した写真を雑誌に載せた場合等ではありませんので、こういう議題設定は相当ではないでしょう。他方、証人喚問が、国政の調査等のために行われる制度であることからすると、こういう議論はなりたつと思います。

現に「公務員」や「公職」にある人であれば比較的安易に証人喚問してもよく、以前ついていた人はその次に証人喚問してよいが、過去も現在も公職や公務員やであったことののない人(以下では私的な人といいます。)への証人喚問は、前の2つの場合より慎重に行われるべきだという議論です。

 

今回の証人喚問は、今回名前のあがっている関係者の中で、最も私的な人である籠池氏に対して行われたわけですから、この観点からも特に調査する必要が高かったということがいえます。よって、公務員や元公務員、あるいは現在公職についている人や以前公職についていた人の喚問は躊躇することなく行われるべきでしょう。もちろん、総理大臣夫人である安倍昭恵氏への証人喚問も躊躇すべき理由は見あたりません。

 

 

C 一番最初の証人喚問だったことも重要です

裁判で尋問を行う場合、どういう順序で行うかは慎重に検討されます。

最初の尋問で、特定の人の名前が出てきて、その人への尋問を実施する必要性が高まることもありますし、そこで食い違った話が出てきたときに、「最初の人にこの点だけ再度聞いてみましょう」となることもあります。

なぜなら、偽証罪の制裁下における証言は、一般的に他の供述より信用性が高いと考えられていますので、最初の人の証言で生じた疑念は同じく証人尋問において明らかにする必要があり、陳述書における記載とか、記者会とか、参考人招致などの、偽証罪の制裁下のない方法では明らかにならないからです。Facebookへの投稿では全然足りないことは言うまでもありません。

 

このように、最初に誰かを証言させた結果、他の方に証言してもらう可能性が高まるということは、一般的に起こりうることです。現在、多くの人が、あの人とあの人とあの人の話を聞く必要があると考えているのは、まさにこの経験則を裏付けています。

逆に、最初に証言してもらうときには、こういう経験則はあてはまりませんので、証言してもらうかどうか、それとも参考人招致でよいか(裁判では陳述書の提出だけにとどめるか)は慎重に検討されます。

 

今回の証人喚問は、関係者の中で、一番最初の証人喚問でした。そこで様々な人に関する新しい話が出てきたのですから、二人目、三人目、四人目を証人喚問する必要性が高まりました。必要性が高まった以上、二人目以降を喚問を躊躇すべきではないでしょうし、二人目以降を喚問した結果、再度籠池氏に証言してもらう必要性が高まるなら、それも躊躇する必要はないでしょう。

 

 

D 「総理を侮辱した」から証人喚問を実施したことは恐ろしい

今回の証人喚問は、籠池氏が安倍総理を侮辱する発言をしたとされて行われました。このことは、自民党の国対委員長がテレビカメラの前で明確に言及したので明らかです。

これが、「議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律」が定める「各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、証人として出頭…を求められたとき」に該当し、あるいは正当なのかは正直疑問ですが、国権の最高機関である国会に幅広い裁量が与えられている以上、違法無効ということはないのでしょう。

 

ただし、上記のように要件に該当するか疑問が残る状況下で証人喚問を行うほど、今回の森友問題事件について真実を明らかにする必要性が高いのですから、この件について他の人への証人喚問を躊躇してはならないということになります。いまさら、上記の要件にあたるか否かを議論するのは、本件では不相当でしょう。

 

証人喚問を実施するか否かは、圧倒的議席数を誇る自由民主党の腹一つという状況です。その力は、国民から委ねられたものですから、恣意的に使うこと許されません。そもそも今回の件は、国有地売却金額の非公表や文書の破棄など、内閣の落ち度によって生じています。国会において明らかにされるべきでしょう(その上で刑事事件としての捜査も行われるべきでしょう。)。

 

ちなみに、国有地が相当な金額で売却されたのか、それとも何らかの背任行為があったのかは、国有地が国民の共有財産であり、その売却は公平公正に行われなければならないので「国政に関する調査」の観点で証人喚問を行うに相当な事項でしょう。

さらに、安倍総理大臣が、「私や妻が関係していたということになればこれはまさに私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」と国権の最高機関である国会で答弁したわけですから、この答弁が真実であるか否かを明らかにすることも、「国政に関する調査」として相当でしょう。

さらに、内閣総理大臣夫人については、法律上の立場が明確ではなく、また様々な行為を規制する法律の要否や、仮に問題があった場合の法的・政治的責任をどうするのかなどを検討する必要があるでしょう。よって国会の「議案」に関する調査のためにも、今回なにがあったのか、なかったのかを明らかにする必要があるでしょう。

 

 

余談ですが、「総理を侮辱した」という理由で、不出頭にすら制裁のある証人喚問を実施することは、戦前の不敬罪すら想起させる非常に不相当な行為であったと考えます。しかも、それを堂々とテレビカメラの前で与党の国対委員長が言及してしまうという空気が非常に恐ろしいと感じます。内閣総理大臣を、戦前の絶対権力者であった天皇と同視するような空気があるのであれば、それは、余りに危険だと感じます。

上記のような判断が、果たして現在の憲法に照らして相当であったかという法律上の問題も、森友問題関係の諸々のことが明らかになった後でもいいので、議論されるべきだと思います。

 

2017.03.18
コラム

みなさま、弁護士の小口です。すっかりコラムをサボってしまいました…。

今回は、盛り上がりに盛り上がっている森友学園問題に便乗して、裁判での証拠評価の方法に関するコラムを書いてみます。末尾に私の私見もあります。

 

 

いま(3/18)一番注目を集めているのが、安倍総理からの献金を示すものとして示されている100万円の振込伝票です。まだご覧になられていない方は、以下のリンクをご覧下さい。

 

全体像

http://pbs.twimg.com/media/C7GsCs6U8AA9UyM.jpg

 

裏からライトをあてた状態

http://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/03/18/20170318ddm001010013000p/7.jpg?1

 

よく、法律相談の際などに、「これは証拠になるか」という質問を受けます。

刑事裁判では、証拠になるかならないかという議論が確かにあるのですが、それ以外(民事裁判など)では、「どれぐらいの証明力をもつ証拠か」「強い証拠か弱い証拠か」という形で証拠を評価することになります。つまり、なるかならないかではなく、証明力が強いか弱いかというとらえ方をします(もちろんゼロ、無関係もありますが)。

 

仮に民事裁判で、森友学園から、「9月5日に安倍晋三氏から100万円を寄付として受け取った証拠だ」として提出されたとすれば、この証拠にどれほどの証明力があるかを検討してみたいと思います。

 

まず、裏からライトをあてた状態の画像をみると、下に「27-09-07淀川新北野郵便局」というスタンプが押されています。

このスタンプは、後から森友学園が作出することがかなり困難な記載です。よって、この記載と修正テープより上にある記載から、この伝票が、平成27年9月7日に、森友学園の口座に100万円送金されたときの伝票であることは、ほぼ確かだと思われます。

 

そして、平成27年9月7日は月曜日であり、5日は土曜日ですから、確かに9月5日に100万円を受け取ったので7日に100万円を振込伝票で送金したというのは、自然な流れです。

 

上記のように、この伝票は、この問題が報道されるようになってから、あるいは色々な関係者から森友学園がしっぽ切りにあった感じになってからつくられた証拠でないことは、「27-09-07淀川新北野郵便局」というスタンプからわかります。

よって、確かに「9月5日に安倍晋三氏から100万円を寄付として受け取った証拠だ」という主張を、それなりに根拠付ける証拠、ということができそうです。

 

さて、残りは「ご依頼人欄」です。

そもそも森友学園は、安倍昭恵氏から、領収書は結構ですという形で100万円を受け取ったという主張をしていますので、この欄が空欄でも不思議ではありませんし、形式上空欄がムリということで自らの団体名である森友学園として記載していても何ら不思議ではありません。

 

むしろ、安倍昭恵氏が上記のように言ったのであれば、ここに安倍昭恵とか、安倍晋三とか書いてはまずいはずです。その上で、もう一つのポイントは、森友学園の上に押されている赤いスタンプ、淀川新北の郵便局長印のハンコです。

 

今回の問題が発覚してから、森友学園が郵便局にこの伝票をもっていって、この赤いスタンプを押してもらうなんていうことは難しいでしょうから(郵便局が応じなそう)、この赤いスタンプも、9月7日当日に押された可能性が高いスタンプだと思われます。せいぜい、その直前直後でしょう。

 

そして、このスタンプはどう見ても修正テープより上に押されていますから、修正テープの下の文字は、9月7日当日かその直前直後より前に記入された文字、ということになります。

 

つまり、今回の騒動が起きてから、あるいはしっぽ切りになりそうになってから、匿名とか、安倍晋三とか書いたということは恐らくなくて、この修正テープの下の文字も、9月7日当日かその直前直後より前に書かれた文字であろうということになります。

 

ここまでのように、書面の内容、客観的状況、そして様々な経験則から合わせて証拠を評価していくのが、裁判実務で日々行われていることであり、法曹として腕の見せ所でもあります。

 

以上でお分かりいただけたと思いますが、この証拠は、少なくとも今回の問題が起きた後、あるいはしっぽ切りされそうになった後に作出されたものではないと考えるのが合理的です。そして、確かに9月5日に100万円を受け取った、特に、名前を伏せた方がいい人から受け取ったことを示していると思います。

 

そして、修正テープの下には、匿名という文字と、安倍晋三という文字が見えます。

 

つまり、まず安倍晋三とか、匿名とか書いたが、どちらも修正テープで消して森友学園と書いたという順序であることがわかります。

 

郵便局が修正箇所を示すためにスタンプを押してくれていることを考えると、郵便局の前でこのやりとりがあって、最後の森友学園を明確にするために(他が修正であることを明確にするために、)郵便局がスタンプをおしてくれたと考えるのが、最も合理的だと思います。

 

最後の論点は、平成27年9月7日の時点で、いつかみんなに裏切られたることを想定して、そのときに備えたある種の切り札として、この証拠をつくっておいたのか、それとも籠池氏の言うとおりのことがあったのかという点でしょう。

 

こういうとき裁判では、他の証拠からわかる事情から、そのような動機を当時持つことがあったか否か、仮にあったとしたら他にこういう証拠があるはずでは、といったことを合わせ考えます。

 

まず、一連の経過からすると、この時点では全てはうまくいっており、裏切られることに備える動機はなさそうです。まあ、それでも用心深い人だということはあり得ますよね(失礼ながらそういう方には見えませんが…)。

 

仮に、当時の時点で、いつかみんなに裏切られることを想定していたのであれば、籠池氏は他にもすごい証拠をもっていて、あるいはつくっていて当然でしょう。

例えば、9月5日に実際に講演した安倍昭恵氏との会話を秘密録音した録音テープや、既に出ている鴻池議員とのやりとりを秘密録音した録音テープなどをです。稲田大臣が務めていた法律事務所に事件を依頼して裁判までしていたようですから、色々な証拠をつくっておくチャンスもあったでしょう(稲田氏への振込み伝票とか)。籠池氏が裏切られることを想定して切り札をつくっておく用心深い人なら、他にも、財務省担当者とのやりとりや、大阪府の職員とのやりとりを秘密録音した録音テープ、そして色々な書類をつくっておく、あるいはもっているでしょう。

 

しかし、そういった証拠が、いまのところ出てきていないところも合わせ考えると、平成27年9月7日当時から、このときのことを考えて「安倍総理を嵌めるための証拠を付くって置いた」というストーリーは、結構厳しい筋だと思います。ということは…

 

以上、あくまでもしがない弁護士の私見です。当たるも八卦当たらぬも八卦。

 

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