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コラム
2017.09.07
コラム

去る9月1日から3日まで、福島県に赴き、原発事故の被害に遭われている方から、直接お話を伺ってきました。この現状は、ぜひ沖縄の方にも知っていただきたいので、コラムに書いてみようと思います。

 

2011年3月11日、東日本大震災が発生し、福島第一原子力発電所で大規模な事故が起きました。

もうすぐ9月11日。あの日、被災地である岩手県の沿岸にいた者としては、毎月11日は震災のことを思い出しますし、半年に一度の節目となると思い出すことが多いです。

 

原発事故により避難を余儀なくされた方は、福島県内だけでなく、日本中に避難されました。ここ、沖縄県にも数多くの方が避難し、今も避難生活を送られています。

 

さて、2016年4月に開所した当事務所ですが、弁護士の小口は、沖縄に来る前、東京で弁護士をしていました。福島県内には、膨大な数の原発事故の被害にあわれた方がいて、到底、福島県内の弁護士だけでは受け皿になりきれないという状況でした。そのため、震災直後から、東京の弁護士は、大規模な弁護団を組んで新幹線で福島県内に入り、相談を受けたり、ADRの手続きの依頼を受けたり、裁判の依頼を受けてきました(もちろん、それ以上に福島の弁護士は奮闘していました。)。

 

弁護士小口は沖縄に来た後も、東京にある原発事故被災者支援弁護団の団員として、東京電力を相手にしたADRや裁判にかかわり続けています。去る9月1日も、東京電力と国を相手に提起された裁判に出廷するために福島に赴き、裁判後は3日まで、各世帯の方から具体的な被害状況をうかがってきました。

 

印象的だったエピソードを少し紹介させていただきます。

テレビ番組の「DASH村」の舞台が福島県双葉郡浪江町だったように、福島県内には自然豊かな地域が数多くありました。今回お邪魔した地域は、原発事故前は「田舎暮らし」という雑誌にも紹介されるほど、自然豊かな地域でした。原発事故前は、各家庭が家の周りに畑を耕し、大根、白菜、ネギ、ジャガイモ、ナス、キュウリ、ほうれんそう等を育て、採れたての野菜を家族で食べるとともに、お隣さんや親せきにあげる。各家庭には自分たちの裏山があって、頻繁に山に入ってはキノコや山菜をとる。川にいってはをヤマメやイワナとって食べる。水は井戸水で、他の地域にも自慢できるおいしい水。こんな自然あふれる地域でした。

 

原発事故後、自宅回りを中心にある程度除染がされたのですが、除染されていないところがあります。それが山です。

震災前は、山の木を切ってシイタケの原木にして、原木にならなそうな木は炭にして炭ストーブやいろりに使い、それも難しそうな材木は薪にしてお風呂を沸かすのに使うというサイクルがありました。しかし、山の線量が下がらないため、このサイクル全部ができなくなりました。

 

他にも山が除染されないことに関係する多くの苦しみが続いています。不便になった、支出が増えたということだけではなく、その過程で育まれていた、自然を育む暮らしが、人々の繋がりが、自然を元に育まれてきた文化が失われてしまいました。そして何より、地域から若い世代が、子どもが大幅に減り、学校も統廃合され、地域から若い力がなくなってしまいました。

 

ぜひ考えていただきたいのは、6年半経って、改善された部分はあるけれども、まだ何も終わっていないということです。いま、粛々と原発が再稼働されていっています。しかし、日本は世界トップクラスの地震大国です。本当にこれでよいのか、疑問を感じずにはいられません。ぜひ、多くの方に関心をもってほしいと思います。

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