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コラム
2018.04.28
過去取扱い事件

当事務所は、最近開発が進んでいる八重瀬町の中心部にあります。

土地取引が盛んなためか、土地の境界に関する相談も多く寄せられています。今回、境界に関する事件で成果を上げることができましたので、報告させていただきます。

 

【事案の概要】

戦後直後から、ずっと今の家に住んでいる。15年ほど前に、隣の家が競売になっていた。新しく入居した隣の人から、境界を越えて無断使用されていると言われている。しばらくそのままにしていたところ、相手から裁判(調停)が提起された。どうしたらよいか。

 

 

【調査】

沖縄の土地の権利関係は、少し特殊な経過を辿っています。沖縄戦のためです。多くの場合、戦後、土地所有申請書が提出され、それにより一筆値調査図が作成され、現在の法務局の公図に引き継がれています。

 

この関係の書類は、沖縄県公文書館に保存されています。よって、境界に関する調査は、公文書館の資料を集めるところから始まります。なお、公文書館には米軍が撮影した航空写真や、国土地理院の航空写真なども置かれています。

 

上記調査により、残念ながら境界の主張で争い続けても、裁判所を説得することが困難であることが判明しました。他方、権利移転と占有状況からすると、境界の紛争では勝てないものの、取得時効が成立しており、その主張により実質的には勝訴できる目処があることもわかりました。

 

当時作成された土地所有申請書の写し等を示しつつ、調査結果を報告させていただいた上で、取得時効を主な主張として、実質的な勝訴を目指す方針になりました。

 

【裁判】

今回、相手方は裁判所に調停を申し立ててきていました。調停員は当然、境界の話しを中心に扱おうとしましたが、こちらから客観的な資料を提出した上で、話しに応じてもらえないのであれば、別に裁判を提起し、その中でこういった取得時効の主張を出す揚程であるとして、ほぼ、訴訟提起後に提出する「準備書面」の形の主張書面を示しました。

 

相手方の弁護士も、調停がまとまらず、裁判を提起された場合、取得時効で敗訴することを理解したようで、無事、勝訴的な内容で調停がまとまることになりました。

 

 

【最後に】

裁判は証拠に基づいて判断されます。そのため、事実が重要であり、事実によっては依頼者の方の希望を実現できないことも多くあります。

 

他方で、その事実の中で、よりよいものを実現することはできますし、当事務所としてはそれに貢献したいと思っています。その結果、本件のように、実質的には当初の希望とほぼ同じことを実現できることもあります。

 

悩んでいても始まらない部分もありますので、まずはお気軽にご相談ください。